現在位置:index / ブラックラットスネークの飼 育メモ
◆ブラックラットスネークの飼育メモ
作成日:2010.09.11  更新日:2011.02.15


 

ここではブラックラットスネークの飼育メモを入門程度に簡単にまとめておこうと思います。同じアメリカンラットスネーク(コモンラットスネーク)であるイエローラットスネーク、グレーラットスネーク、エバーグレーズラットスネーク、テキサスラットスネークもほぼ同様で、温度・湿度を微調整する程度で飼育可能かと思います。
 基本的に蛇に必要になるのは、サイズに見合ったケージ、野生環境の温度・湿度を再現できる器具、隠れ家、飲み水、水浴び場が最低限必要と思って頂ければまず間違いはないと思います。 最も重要なのは、その蛇の生息している環境を知ることだと思います。

■基本的な性質
ブラックラットスネークは基本的には穏やかな性格の個体が多く攻撃性は低めです。反面臆病な面を見せる事が多く、アルビノを除く目の良い品種は触られる事を極度に嫌う傾向があります。 特に触られ慣れていない個体をいきなり掴んだりすると、尾の先を激しく振動させて威嚇してきたり、首をS字に持ち上げシューッと言う噴気音を立てたり、特に雄ではジャコウ臭を振りまいたりしてくる事が良くあります。
攻撃性は低いと書いたものの、食後などよっぽど気が立っていたり、若い個体の場合には噛みついてくる事もままあります。

威嚇


上の写真は威嚇して首を持ち上げるブラックラットスネーク(リューシスティック)
下の写真は若くて落ち着いていないブラックラットに噛まれた跡。

噛まれた跡


また、攻撃性は比較的低いものの食欲は旺盛で、適温飼育している限りは食後2,3日で排泄を終え、すぐに餌を探しに動きまわる姿を見せてくれます。


■ケージ
 ベビーなら30cm程度のプラケでも充分飼育可能でしょう。ブラックラットスネークの成体には少なくともW90cm×D60cm×H45cm程度のケージが必要となります。充分な活動スペースを用意してやるならそれより広くてもいいぐらいです。
 基本的にはとぐろの直径の3倍程度の幅を持ったケースがあれば良いそうですが、体を伸ばせるスペースがあると一直線に体を伸ばしてリラックスする事もあるので、広いに越したことはないようです。バーチ(止まり木)などを渡してやると高さを使った活動もするようですが、転倒・転落しないよう要注意です。
 ケージの材質自体はなんでもいいと思いますが、通気性は確保してやりましょう。 どんな生物でもそうですが、通気性が悪いと排泄物によるアンモニア中毒(自家中毒)で死んでしまうこともあります。
それから蛇には意外と力があるので、脱走されないよう強度のある蓋が必要です。

■保温・保湿
 ブラックラットスネークは北米に生息しているので、おおよそ23〜26度、夜間で20度〜24度程度が適温でしょう。湿度はさほど必要ありませんが、全身が入る水容器があれば生体が自身で湿度をコントロールできます。 温度に幅を持たせる理由はわざわざ書くまでもないと思いますが、あえて書くとすれば爬虫類は変温動物だから…と言うのが理由になりますでしょうか。
 湿度に関しては、脱皮の際にある程度の湿気を要求しますので、シェルターの 中に軽く湿らせたミズゴケを置いてやっても良いかもしれません。脱皮前には特に湿気を必要とするのでケージ内の湿度を見つつ、霧吹きなどでコントロールしてやりましょう。

■床材
 色々なものが使えると思いますが、新聞紙などが一番使い勝手が良いように思います。 個人的な感想ですが、ペットシーツ等の吸水性の良過ぎるものは脱皮時に必要な湿気を吸ってしまうので、脱皮不全の原因になる事が多いように感じます。

■水容器
 水容器は二つ用意してやるといいと思います。 一つは全身がどっぷり浸かれる程度の大きさの水入れで、もう一つは飲み水用のやや小さな水入れです。 脱皮の前になると大量の水分を摂取したり、水に全身浸かる事も少なくないので用意しておいてやりましょう。脱皮前以外にも体温調整の為に水に浸かる個体、汚れを落とすために水に浸かる個体等もいます。どちらの水も必ず新鮮な水を用意してやる事が大事と言えます。

水入れ


上の写真は脱皮前に水入れに浸かるブラックラットスネークのアルビノ。

■シェルター
 特に人馴れしていない個体には必須だと思います。 水容器やシェルターなどは多少ゴツゴツしたものを選んでやると脱皮時の取っ掛かりにするので、どちらかはそう言ったものを用意してあげましょう。 たとえ人馴れしている個体でも人間には蛇の感情までは把握する事はできません。蛇の感情を推し量る材料は多いに越したことはありませんので入れてあげると良いでしょう。また万一拒食になった場合、シェルターなどを用意することで立ち直る事があるとも言うので、予防的に普段から用意しておいてやるのも良いと思います。

シェルター


構われたくない時はシェルターの中に引き籠って外に出てきませんが、空腹時や余裕のある時等は上の写真のようにシェルターから頭を出すと言う姿も見せてくれます。

 またブラックラットスネークなどのナミヘビの場合はシェルターの代わりにハンモックなどを用意してやると、寝床としてもバーチの代わりとしても活用してくれるのでお勧めです。

ハンモック




■餌
基本はマウスが主体となります。
 ベビーにはピンクマウス、サブアダルト以降、胴回りよりやや細い程度のホッパー、アダルトとシフトしていけばいいと思います。ベビーで3〜5日に1回1〜2匹、アダルトでは1週間〜2週間に1回2〜3匹程度で良いと思います。
  コーンスネークや他のラットスネーク等、ショップではベビーで販売されている事が多いと思いますが、ベビーを迎えた場合の給餌方法などは慣れていないと戸惑う事が多いでしょう。基本的にハッチ後であれば、全く餌を食べなくても30日前後なら大丈夫な事が多いです(あくまで目安)。ベビーの内でもピンクマウスSSぐらいなら丸呑みできるのですが、アダルトの個体のようにがっついてアタックしてくるような事は基本的にありません。小さく口を開け、掬い取るように飲むだけなので、蛇の視界に入る位置にそっと餌を置いてやるだけに留めた方がよいでしょう。餌を置く時に将来使う予定のピンセットで置くと、ピンセットからの給餌への移行もスムーズです。

■繁殖
  あまり繁殖に関する詳しい情報が出回っていないのが実情ですが、冬季に2ヶ月程クーリングをすると餌食いが落ち、活動も鈍くなります。クーリングした後徐々に加温を始めると、比較的繁殖行動に出易いようです。繁殖に使う個体は生後3年位経った体格の良い個体を使うべきでしょう。大体雄が雌の体に沿うように追従し、雌は体を小刻みに動かしてサインを送るようです。ここで相性が良くないと激しく暴れまわったりするので注意が必要です。受け入れが出来ていると少しずつ体勢を動かして行き、最終的には尻尾の先を絡ませるようにして交尾に及びます。

  交尾後約1ヶ月程度で雌の腹はパンパンに膨らんで、餌を食べなくなります。その後大体の場合1回脱皮をし、その10日後位に卵を産み落とすケースが多いようです。卵が水没しないよう深い水容器は撤去し、雌が全身入れられる程の浅い容器に湿らせたミズゴケ等を敷き詰めておくといいと思います。転卵はせず、卵の上側にマーク等をつけておくといいかもしれません。卵は順調に育っていれば約50日〜80日ぐらいすれば孵ります。乾燥は厳禁ですが卵の表面に水滴が付くようではいけません。

下はブラックラットのベビーが孵化する様子。

通常ハッチ後10日程度でファーストシェッド(FirstShed:初脱皮)をします。これが終わるまでは餌を食べないので、ある程度の湿度・温度を保ってそっと見守りましょう。ファーストシェッドを終えると初給餌です。この程度のサイズの個体でもピンクマウスSSぐらいはそのまま飲む事ができますが、たまに頭の小さな個体もいるので、もし食べられないようであれば餌を切断してやった方がいいかもしれません(臭いの弱いピンクマウスでも切断する事で臭いを放つようになる効果もあるにはあります)。 仮に食べない場合、強制給餌などはせずに置き餌などで気長に付き合ってやったほうが良い結果になる事が多いと思います。

■拒食
 普通の状態では拒食とは基本的に縁がありません。 それでも拒食をする場合は環境の問題をまず疑うべきです。温度・湿度は最適か、水は新鮮か、シェルターは設置されているか、触りすぎていないか、前回食べた分排泄できているか、脱皮の準備に入っていないか…などなど。またベビーの場合、湿気のある隠れ家は用意されているのか、などが重要になります。それらを改善しても良くならない場合は素直に獣医師の診断を仰ぐことをお勧めします。
上記以外の場合で、春先など暖かくなってきた頃発情期を迎え、一時的に拒食になるケースもあるようです。

■脱皮
上の水入れの所に掲載した写真のように目が白化した後、全身が真っ白に染まります。 その後一旦通常の色に戻り、2〜3日後には大体脱皮を終えるようです。 白くなってから脱皮を完了するまででおおよそ1〜2週間程度かかります。この間餌は全く食べません。

脱皮


健康な個体は上の写真のようにズルッと全身一枚皮が剥けます。この時、この脱皮殻に穴が開いていないかをチェックする事で脱皮不全のチェックができます。特に目の部分が残っていないかは注意してみてください。通常は外傷も脱皮時にかさぶたのように剥がれ落ち、ゆっくりですが治って行きます。

傷跡





■脱皮不全
 栄養不足か湿度不足が原因であることが殆どだと思います。 それらの環境を疑ってみて改善しないようであれば、獣医師の診断を仰ぐのがベストでしょう。

■雌雄判別
 育ったブラックラットは尻尾の長さを見比べたらすぐにわかる程度に総排泄口から尻尾の先までの長さが違います。 …が、慣れていないならば雄だけ、あるいは雌だけをぱっと見てもわからないでしょう。
 幼体にはポッピング、成体にはプローブを使用で判別するのが一番だと思いますが、慣れない人がやると蛇を負傷させてしまうことが多いです。具体的な方法を知りたい方は、熟練されている方に直接アドバイスを受けて下さい。




このページの先頭に戻る


TopPageへ戻る