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◆TAMRON SP AF 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 (Model 272ENII) レビュー
作成日:2011.02.27  更新日:2011.06.23
90m撮影例
撮影例は90mm、開放F2.8(実効F3.5)、SS1/800、ISO200、-0.3EV。
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このレンズを使った他の撮影例はPicasaにアップしてありますので参考にどうぞ。
(20110226_多田銀山はすべてこれで撮影しています。)
また、爬虫類や昆虫等閲覧者の好みに左右される物を多数含みますが、このレンズで撮影した写真には全てタグ付けしておりますので、偏見のない方はこちらからどうぞ。
※Google社はPicasaからGoogle+への機能移行を図っているようで、Picasaのタグ機能が正しく動作しなくなったようです。このレンズ固有の作例は追ってこのページに追加して行こうと考えております。


nowprinting (※この記事で使用しているボディはNikon D90です。)
◇購入経緯◇
 たまおやが購入した5本目のレンズで柔らかい表現がウリとの触れ込みを聞き、硬い描写のシグマ70mmと使い分ければ面白いのでは、と思い購入に至りました。言わずと知れた銘玉と名高いレンズです。

◇使用用途◇
主に植物専用レンズとして使用していました。
個人的な感想ですが、DXで使うならNikkorの60mm等の方が焦点距離や付加価値的な意味合いで、その用途には向いている気がします。
どちらかと言うとFXフォーマットで使ってこそのレンズだと感じたため、売却しました。

◇焦点距離◇
  APS-Cで使用した場合はフルサイズに換算すると135mmとなる中望遠マクロです。APS-Cで使うには少しばかり長く、換算105mmクラスよりは手ブレしやすいなど、使う人によっては扱いづらさが顔を覗かせるかもしれません。また使用目的を明確に持って購入しないと中途半端な印象を持ってしまうかもしれません。やはりフルサイズ機において真価を発揮するレンズだと思います。APS-C機で使用する場合は三脚でしっかり固定して撮影すべきだと思います。

◇F値◇
開放F値はF2.8で、シグマの70mmマクロ同様に現在(2011/11/1)発売されている等倍マクロとしては最もスタンダードなF値です。
シグマの70mmに比べるとやや長めの中望遠レンズですのでボケの大きさは大きく、またこのレンズ特有の背景を溶かすような描写が得意です。このレンズも前群繰り出し方式ですので、接写時には露出倍数がかかり実効F値は2.8より暗くなります。

◇光学性能◇
 先に紹介したSIGMAの70mmマクロに比べると比較的柔らかい描写をする事が特徴で、写り自体は噂通り描写に芯があり、優しくもしっかり写ります。アウトフォーカス部分もAPS-Cですら美しいボケ味を見せてくれる辺りが流石の一言です。超解像を望まない花撮影や、女性ポートレート等に真価を発揮するレンズではないでしょうか。 しかし悪く言ってしまえば人の毛穴までシャープに解像するレンズではないとも言えます。特に開放〜F4程度までの描写は甘いです。(それでもF5.6〜F8程度に絞ればかなり良好ですが。)
 
◇接写性能◇
 最大撮影倍率1倍、最短撮影距離29cmと、接写に関しては申し分ない性能です。
他の等倍マクロ同様、高倍率撮影が楽しめます。

◇機械部分◇
 フルタイムマニュアルフォーカスはできませんが、AF/MFの切り替えはワンタッチフォーカスクラッチ方式(ピントリングを手前に引く事でMFに切り替わる)のため、切り替えはやりやすい部類です。

◇付加価値◇
 超音波モーターは搭載していませんが、現行モデルはレンズ内モーターを搭載しています。マクロでAFを語るのはナンセンスかも知れませんが、D90のボディ内モーターに比べると僅かに速いと思います。(Model272ENII)。 ただし、逆にAF精度…特に暗所でのAFの迷いは顕著に現れ、AF補助光を使わない場合は特にSIGMAの70mmよりシビアです。 またマクロ域から中近距離の撮影ではフォーカスは合いやすいですが、遠距離では精度がかなり甘い気がします。
  また、手振れ補正を搭載していないので、特にAPS-Cにおける手持ち撮影では結構手振れしやすいです。(後継機には手振れ補正機構VCが搭載されていますが、描写の癖も大きく変わったようです。)

◇重量・大きさ◇
  同クラスのレンズに比べると、細く軽くコンパクトです。旅行時のお供に持っていっても苦にならない重さでしょう。

◇価格◇
 解像力、ボケ味、取り回しと全てバランスの良いレンズですが、非常に安価なのでコストパフォーマンスはとても高いです。

◇備考◇
 個人的には花撮影・ポートレート等では良いパフォーマンスを発揮しますが、無機物はSIGMAの70mmが得意なのかなぁと言った印象です。またAPS-C機においてはその焦点距離は割と微妙と言える距離なので、初めてのマクロレンズ購入で悩んでいるのであれば、このレンズのワーキングディスタンスが撮影目的にマッチしているか慎重に選ぶべきだと思います。(個人的にAPS-C機で初めてマクロレンズを購入するのであればもう少し焦点距離の短いレンズの方が扱いやすいと思うためです。)
個人的な事情ですがZoomMicroNikkorを購入した後、全く使わなくなったため、2011年秋に売却しました。

◇総評◇
 解像力に関してはSIGMAの70mmに溝を開けられている印象です。柔らかい描写は得意ですが、APS-Cでは換算135mmと少々長く、特にビギナーの方の手持ちではブレが発生しやすくなる焦点距離です。ですので手持ちマクロ重視の方はもう少し焦点距離の短いレンズを選んだ方が良いでしょう。三脚を立てて動かない被写体を撮影する分には充分な性能を持っています。
  手放しで絶賛されがちなこのレンズですが、このレンズがあまり得意としないような表現が必要となる被写体では他のレンズを検討した方が良いかもしれません。


(10段階評価。☆は1点、★は2点。)
□光学性能(解像力) ★★★☆
□光学性能(ボケ) ★★★★★
□機械性能 ★★☆
□コストパフォーマンス ★★★★★
□総合点 ★★★★



[レンズスペック]
定価:¥71,400-(税込)
レンズ構成(群-枚):9-10
FXフォーマット画角(対角線):27°2'
DXフォーマット画角(対角線):17°37'
フォーカシング方式:前群移動
手ブレ補正機構:なし
レンズ内モーター:内蔵(非超音波モーター)
絞り羽枚数:9
最小絞り:32
最短撮影距離(m):ズーム全域0.29
最大撮影倍率(倍):1/1
重さ(g):400
最大径×長さ(mm):φ71.5×97
フィルターサイズ:55
キャップ:スプリング式
フード:2C9FH付属(バヨネットフード)
ケース:ポーチ付属

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