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◆トダ精光 ワイドコンバージョンレンズ DSLR07N レビュー
作成日:2011.09.09  更新日:2011.09.09


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■製品概要:
 レンズのフィルター枠に装着するタイプのレンズで、焦点距離を0.7倍とするワイドコンバージョンレンズです。前玉がネジ込み式になっており、外す事でクローズアップレンズとして機能します。ディオプター(詳細は割愛しますが、この値が大きい程より近付いて写す事ができると考えてください。)の値は恐らく〜+20程度です。大きく近づける反面、ピントがシビアでかつゆがみも大きくなります。
←フィルター枠のサイズは52mm、55mm、58mm、62mm、67mmとありますが、リンク先及びこの記事で紹介しているのは67mmの物です。

■購入のきっかけ:

 APS-CセンサーのNikon D90で、標準ズームとしてタムロンのA09(28-75mmF2.8)を使用しているのですが、このレンズは元々FX(フルサイズ)フォーマット用のレンズなので、APS-Cでは42-112.5mmとやはり広角側が不足です。 しかし、だからと言って18-50mmF2.8クラスのレンズでは近接撮影(俗に言う「なんちゃってマクロ」)を捨てる必要がありました。 私個人的にはF2.8通しとなんちゃってマクロは捨てられないが、広角は犠牲にしてもいい(超広角がどうしても必要であればTokina 107を使う)、写りさえすれば画質にはさほど拘らないと考えたのがきっかけです。

■このレビューの前提:
 購入のきっかけでも触れましたが、タムロンのA09との併用が基本コンセプトです。その他のレンズについては追々、機会があれば追加します。
 A09にDSLR07Nを装着した時の焦点距離は19.6-52.5mmで、おおよそ20-52mmF2.8(35mm判換算で30-78mm)となり、フルサイズ機で使用した場合の焦点距離にかなり近づきます。 画質はどうしても劣化してしまいますが、引き換えにこの焦点域では殆どのレンズで使えないなんちゃってマクロが手に入る形となります。

■DSLR07N 67mmの基本仕様:

  概要でも書きましたが、DSLR07Nは0.7倍ワイドコンバージョンレンズと、マクロコンバージョンレンズが一体となった製品で、レンズのフィルタネジにねじ込む形で装着するレンズです。フィルタ径毎に製品が販売されていますが、私が購入したものは67mm径のものです。(A09に装着するため。)

レンズ本体に前後キャップが付属します。
中央部(MACROの文字の少し上)でフィルタネジのように合わせてあり、分割する事で2つのレンズに分断できます。

A09への装着感はさほどバランスも悪くない印象ですが、281gもある為かなり重く感じます。
若干フロントヘビーですが、元々A09がF2.8通しにしては軽めなので無理はありません。


■接写簡易レビュー:
 A09にこのマクロコンバージョンレンズを装着した際、近接撮影時はレンズ先端から3〜5cm程先でしかピントが合わなくなります。(実測はしていませんが、仮に5cmが最長の距離だった場合、このマクロコンバージョンのディオプターは+20と言う事になります。ディオプターについてはトダ精工に問い合わせたのですが、「回答できません。」どころか返信メールもなく完全に無視されてしまいました(;´∀`)

きっちり計測はしていませんが、箱の文字にピントを合わせようと思うと上の写真ぐらいには近づく必要があります。この距離で撮影した例は下写真を参照。


(上写真は28mm端での接写。)


(上写真は75mm端での接写)

パッと見て分かる通り、より望遠側になる程、より周辺部に行く程、像が外に向かって流れる形となります。厳密なピント合わせをしている訳ではありませんが、これはボケが外に流れているのではなく、本来ピントが合っているラインであっても周辺部が流れてしまうと言う事です。日の丸構図ぐらいでしか使えませんね。

比較用として、SIGMAの70mmマクロの等倍付近及び、XZ-1のスーパーマクロ(1cmマクロ)で撮影してみました。(付近としたのは三脚使用せず、厳密にピントを合わせていないためです。)

(上はSIGMA 70mm マクロ 等倍付近、手持ち)
こうやって見比べてみると、等倍撮影とまでは行かないまでも、マクロコンバージョン+A09ではかなり高い倍率で撮影できている事が分かります。


(上はXZ-1 スーパーマクロ)
こちらは35mm判換算でおおよそ焦点距離28mmの接写(レンズ先端1cm)ですが、A09+マクロコンバージョン28mm側の能力がかなり高いと言える気がします。何より広角側でこの程度の倍率で撮れるレンズが意外とないため、重宝しそうです。

併用するマスターレンズ次第ですが、なかなか面白いのではないでしょうか。
参考程度にZoomMicroNikkor 70-180mm F4-5.6Dに装着した例も掲載しておきます。



上が70mm端、下が180mmですが色滲みがかなり酷いです。
また、レンズ先端1cm位に近づかないと撮影できないため、殆ど実用性はないと思います。

■ワイドコンバージョンとしての性能:
  本来のワイドコンバージョンレンズとしての性能のほうも見てみましょう。実際に撮影してみるとすぐわかるのですが、中央部はまだしも周辺部は各収差がビシバシ出ます。コマ収差、色収差は盛大に乗ってくるので扱いが難しいですね。周辺部は像もかなり流れます。

何気なく空を撮った写真ですが、青空のような元々グラデーションの部分は特に意識する事なく自然に使えますが、写真下部の点光源に目をやってみると、コマ収差が見て取れます。

点光源が放射状に流れているのがわかりますね。(わかりやすくするため、拡大写真のコントラストは少し調整しています。)
色収差の例も見てみましょう。同じくなんとなくで空を撮った写真です(下)。

リサイズした写真でパッと見ではわかりにくいので、また拡大写真を用意してみました。上の写真の右下部分の拡大です。

周辺部の像が流れると同時に、色収差が出ているのがわかりますでしょうか。ちょっと色が滲んだようになっていて気持ち悪いですね。ただそこまで大きな収差とは言えないので、現像次第である程度誤魔化せる程度…とも言えます。下に同日似たような時刻に撮影したものを現像した例を掲載しておきます(サンプルの為若干大袈裟に調整しています。)

色々試してみて思うのは、A09をマスターレンズに用いる場合は風景をパンフォーカスで撮影すると、やはり歪曲やコマ収差、色収差、周辺部の像の流れが気になるシーンも多いので、どちらかと言えばA09のなんちゃってマクロを生かした、広角F2.8なんちゃってマクロとして用いた方がその真価を発揮できるかもしれません。(アウトフォーカス部はどうせボケるので、収差は目立ちにくい。)

(A09+DSLR07N、28mm(DSLR07N装着で20mm)、F2.8)


(A09+DSLR07N、28mm(DSLR07N装着で20mm)、F2.8)




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