
撮影例は300mm、開放F5.6、SS1/500、ISO800。レンズはAF-S DX 55-300mm f/4.5-5.6G VR
(※この記事は編集中のため、内容が変更になったり、増減したりする可能性があります。)
◇はじめに −購入経緯−◇
D90を使う事3年。そろそろD90にもあちこちガタが出てきたので、D90をサブ機に落とし、メインに据えるカメラを探していました。D800やD600等のフルサイズ機も検討したのですが、今まで慣れ親しんだ被写界深度や焦点距離を考えるとすんなり置き換える訳にもいかず…。かと言ってD90からD7000ではよくなる部分もあれど、悪くなる面もあり、乗り換えられずにおりました。そんな中昨日(2013年3月14日)発売されたのがD7100。
D7000とD7100の大きな違いはと言うと、AFポイントの数、AFセンサー、撮像素子、画像処理エンジン、対DX1.3xクロップ等が代表的な所です。D7100を代表する目玉と言えば2410万画素のローパスレスセンサー。D7000を比較候補に挙げている方、D7000からの乗り換えを検討している方ならば、AFの正確さ、2410万画素のローパスレスセンサーが気になる所かと思います。
D90からの比較では、撮像素子が1200万画素から2410万画素にUp、ファインダー視野率が96%から約100%にUp、常用ISO感度のUp、AFポイントやAFセンサーのUp等さまざまな面で機能Upしています。
◇D90からの機能アップ◇
D90では11点しかフォーカスポイントがなかったので、画面の端の方にピント位置を持ってきて構図を決める撮影が非常に面倒でした。この点51点のAFポイントでは画面の大部分をカバーできるため非常に構図が決めやすいです。またD90ではAF-S時にレリーズ優先にする事が出来なかったので、フルタイムMFのレンズを生かす場合にはAF-Cを使う必要がりました。この点でもD7100はAF-S、AF-Cそれぞれ個別にレリーズ優先かフォーカス優先かを設定できるので非常に助かります(D7000でもできますが)。またAFの速さですが、レンズ内モーター内臓のレンズではAFのスピード自体は大差ありませんが、AFで迷う事は非常に少なく、ペットの爬虫類撮影等の暗い場所でもしっかりピントを合わせてくれる印象です。
◇高感度耐性◇
D7100は常用感度がISO100〜6400に設定されており、増感でISO25600相当(+2Ev)まで使用可能です。ここは基本的に数値だけ見るとD7000と変わっていません。細かいISO値毎の撮り比べは後述しますが高感度時の実用性の方を見てみようと思います。
と言う訳で早速実例。
レンズはタムロンのA09のテレ端75mm、F値は開放2.8、SS1/125、ISO5600(オート)。
当たり前と言えば当たり前ですが、縮小してWebで見る限りはそれほどノイズは目立ちません。が、拡大して原寸で見る(※jpeg撮って出し13MBの巨大ファイルが別窓で開きます。)と流石にノイズでザラザラ。これを許容範囲と見るか否かで高感度の評価は大きく変わる事かと思います。ただ24Mピクセル機なので多少ザラザラしていてもNRをかけたり、鑑賞サイズに縮小する事でさほどノイズを気にしなくていい面は評価できると言っていいんじゃないでしょうか。なお、ベース感度のISO100では流石によく写ります。
こちらも原寸の画像(※こちらも約9MBのjpegが別窓で開くのでご注意)を添えておきます。使用レンズは変わりませんが、f/5.6まで絞り、SSを確保するためSB-700を併用しています。感度の項目で述べる事ではないが、ローパスレスセンサーの解像力が優秀なのが垣間見えると思います。
◇D90との高感度比較◇ (2013.03.16追記)
D90とD7100にそれぞれ同じレンズを使用し、同一の条件で感度を変えて比較撮影してみました。
使用レンズはAF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED。撮影モードはA(絞り優先露出)、F値は2段絞り込んだf/5.6で1段ずつISOを上げて行き撮影しました。WBはどちらも蛍光灯固定(D90の方は晴天で撮影してしまったので、後から蛍光灯へ変更)でマルチパターン測光を使用。部屋の明かりを消して、隣の部屋から漏れ出る蛍光灯の光で室内撮影。フォーカスはAF任せ、チェシャ猫ぬいぐるみの右目(向かって左の眼)辺りを狙ってフォーカスしています。ちなみにD7100はミラーアップ・露出ディレー共に不使用、D90も露出ディレー不使用。どちらも以下のマンフロットのポケット三脚を使用して、テーブルの上に設置して撮影。(よって多少のミラーショックの影響には目を瞑る事にした) 撮影しなおしたので三脚、リモートコード使用です。
また、どちらの機種も高感度ノイズ低減は「する」に設定の上で撮影したが、設定感度/機種ごとにノイズリダクションの強さが変わります。この辺はjpeg撮って出しでのノイズの量を見る事を優先したため「する」で試しましたが、CaptureNX2にてノイズリダクションのパラメータは確認済みなのでそれらも併記しておきます。(またNRなしで比較したい人用にNEFファイル一式を比較の後にリンクしておきます。)
縮小サイズを見ている限りは何が違うのかさっぱりわからないが、等倍でフォーカスの合った左目部分や暗部(特に猫の左前足(向かって右の足ね)の辺り等)を見比べるとD90のISO1600とD7100のISO3200〜6400が似たようなノイズの出方をしています。ただD7100の方が高画素なのでノイズリダクション耐性が若干高い分3段、4段分にも近いアドバンテージがあると言えるかも知れません。この辺はNRのかけ方や実際に写真を撮る環境の光の状態の影響も大きいので単純比較はしにくい所ではありますが…。
さてD90とD7100の高感度比較を一通り並べた所で両者のRAW(NEF)ファイルを上げておきます。D90のNEFで合計100MB、D7100は2枚多いけれどもそれでも280MBとかなりの大容量なのでDLする際はご注意されたし。また短期間に何度も繰り返しDL等でサーバーに対して高負荷になるようであれば突然削除したりするかもしれないのでご容赦を。
D90 NEFファイル群(Zip、約100MB)
D7100 NEFファイル群(Zip、約280MB)
◇対DX1.3xクロップ◇
D7100はセンサーの中央部だけを使う事で、1.3倍の望遠に相当させると言う機能を持っています。一見すると「あとでトリミングするのと何が違うの?」と思わせるこの機能。基本的にはその疑問の通り得られる画像は変わりません。…が、撮影時に中央部だけ切り抜かれる事でデータ容量が減り、結果、撮影可能枚数が増え、連写性能も僅かながら上昇するのでメリットが全くない訳ではなかったりします。
1.3xクロップを使うとおおよそ1600万画素相当となり、D90の1200万画素を思うとそれでもまだ十分な画素数と思えてきます。元々フィルムに対して1.5倍の望遠効果(と言うより中央トリミングだが)のAPS-Cに更に1.3倍の望遠効果。フィルム換算で言えば大よそレンズの焦点距離の2倍の画角が得られます。2倍と言うとNikon1にFT1を噛ませた時の2.7倍には少し及ばないが、エントリー機のダブルズームキット用no55-300mmのテレ端ですら600mm相当の望遠レンズになってしまう訳です。
と言う訳でこっちも早速試してみました。
DX55-300mmレンズを使用し、ISO500(オート)、SS1/640、f/5.6、手持ちでの撮影。
夕刻の強風の中だったので多少のブレはあるかもしれませんが、なかなかに引き寄せて撮れていると思います。(原寸画像 約8MB)
比較用に別の日に撮ったNikon1 J1 + Ft1 + 55-300の作例も載せておきます。
天候条件等は異なるが、レンズ、被写体は極力合わせてみました。
こちらはISO400、SS1/200、f/5.6、一脚併用での撮影。
流石に2.7倍ともなると一回り程大きいですが、鳥専門の人でもない限りここまで引き寄せる必要があるかは少々疑問が残る所。
こちらも原寸画像を添えておく(※5MB程)が、原寸同士で羽毛の辺りを見比べるとD7100の方がよく解像しているのでは、と思います。SSに違いはありますがそこは一脚分でトントンかな?と思っているがどうでしょうか。D7100ならばAFポイントは自由に選べる上に、中央のAFポイントに絞っていいのならば1.4倍テレコンの併用が可能です。一方Nikon1はと言うと、コンパクトな上に2.7倍相当と言うのが魅力。この辺は使用者のフィーリング次第…と言った感じですが、元々Nikon1をメインにする人、フルサイズのお供にNikon1な人はともかく、APS-Cのお供でかつ望遠を補う目的でNikon1を使っていた私みたいなタイプの人間はもうNikon1を手放しても良いかもしれません。
◇撮影サンプル◇ (2013.03.19追記)
ここまで暗所撮影や、手持ち撮影など、悪条件下での撮影を中心に例を出してきたので、ここらで一つ普通に撮影した例も出しておこうと思います。私は爬虫類撮影がメインですので今回の作例も爬虫類ですがご容赦下さい。例によって画像クリックでリサイズなしの写真を別ウィンドウで開きます。
細かい撮影条件はExifを見て頂いた方が早いですが、レンズはAF-S DX Nikkor 16-85mm f/3.5-5.6G VR。ISO100、F5.6、SS1/60、焦点距離85mmでSB-700(バウンスアダプター付)の手持ち撮影です。RAW撮影ですが、現像時には何も手を加えずそのままjpg変換しています。
また、同一の被写体で極力撮影条件を近づけ、レンズを変えて撮影してみた例も載せてみます。レンズの画角が違う物を使っていますので、途中で構図が変わっていますが参考程度に見て頂ければと。
AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED、F8、SS1/60、SB-700、三脚使用。
AiAF Zoom-Micro-Nikkor 70-180mm f/4.5-5.6D、ワイド端70mm、F8、SS1/60、SB-700、三脚使用
SIGMA MACRO 70mm F2.8 EX DG、F8、SS1/60、SB-700、三脚使用。
シグマ70mmだけ少しピント位置が後ろに抜けてしまっていますが、撮影者のうっかりミスです。
◇ハードウェア的な変化◇ (2013.03.19追記)
これまでは写真の写り等、ソフトウェア面や、高感度等カメラの内面に主眼を置いて見てきました。そこで今度は物理スイッチ等の違いに着目して見てみます。
左の写真は、左から順にD7100、D7000、D90です。レンズこそ違う物の、ボディだけ遠くから見ると何がどう違うのかさっぱりわかりません。ですが右肩の液晶、左肩のモードダイヤル、背面液晶周辺の3か所で微妙な変化を遂げています。
では何が変わったのか見比べてみましょう。
今度は左から順にD90,D7000,D7100です。小さい写真でわかりにくく申し訳ないのですが、
D90の写真のオレンジで囲んだ部分にあった連写モードの切り替えボタン、AFモードの切り替えボタンがD7000以降右肩ボタン群から消えています。そしてD7100ではオレンジの丸の部分、シャッターボタンのすぐ脇に動画撮影開始のボタンが新設されました。D90から消えたAFモード(AF-A、AF-S、AF-C)、連写モード切替はどこへ行ったかと言いますと…
D7000、D7100ではAF/MF切り替えレバーの真ん中に押しボタンが設置されており、これを押しながらコマンドダイヤルを回す事でAFモードの切り替えが可能となっています。
またD90では一段しかなかったモードダイヤルがD7000以降で二段になっており、下段のダイヤルで単写、連写を切り替える形となりました。なおD7100ではモードダイヤルの上面中央にボタンが新設され、これを押しながらでないとモードダイヤルが回らなくなりました。撮影の合間に鞄に放り込んでいたら撮影モードが変わっていた…と言う事が防げるため、便利になったと言えます(手間に感じる人には邪魔かも知れませんが)。またD90にあった各シーンモードはD7000以降「SCENE」にまとめられています。 D7000からは撮影モードが一つ増えてEFFECTSモードが増設されています。これは指定した色以外をモノクロにするセレクトカラー等の特殊効果機能を使うためのモードです。
更に背面液晶周辺を見ると微妙な変化が見て取れます。
左からD90、D7000、D7100ですが、まずD90目線で見ると、D7000以降で再生ボタン(右三角)が削除ボタンの横位置まで押し上げられました。D7000目線で見た場合には、OKボタン上にあった動画撮影開始ボタンが消えています。また両者から共通の変更点として、液晶保護カバーが撤廃され液晶部の出っ張りがなくなりました。また液晶左の操作ボタンの一番下に、「i」ボタンが新設されています。この「i」ボタンは、DXモード/1.3xモード切替や、ADLの変更などにダイレクトに移動できるように設計されているボタンです。
外観、スイッチ類的にはD90、D7000、D7100の間で大きな変化は少なく、細かい操作性のUpだけが図られています。今まで使っていた配置に慣れた人でも、すぐに慣れてしまうレベルの変化ではないでしょうか。
◇まとめ◇
ひとまず駆け足でレビューしてみたがいかがだったでしょうか。私見ではD90からの乗り換えでかつD90に不満が出だしているなら「買い」。D7000からの乗り換えはローパスレスセンサーと強化されたAF周りに魅力を感じるか否かが鍵だと思います。望遠目的の人にもなかなかいいんじゃないかなーと言った印象です。なおD90からの乗り換え組はファイルサイズも気になる所だと思うけれど、14bit非圧縮RAWで大よそ25MB〜35MB、中には45MBと言うファイルもあるのでHDDはかなりの勢いで消費していきそう。D90で使っていた8GBのSDカードでは300枚程度しか撮影できないし、記憶領域にもお金をかけてやる必要はあると思います。また実用で気になった事、追記する事が見つかったら書き足していこうと考えています。ああそうそう。発売前に「バッファ問題が〜」と散々言われてきましたが、私の使い方ではまだその問題には直面していません。
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