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◆熊本旅行記 (俵山峠〜中岳火口編)
作成日:2013.08.28 更新日:2013.08.28 


   

 前回無事に大野さんと合流できた僕達。この日の予定は先にも述べた通り、阿蘇中岳火口から草千里、米塚、大観峰を経ての菊池渓谷までを巡る、阿蘇周辺を全て堪能しようと言う欲張りなプランである。

早速菊池渓谷へ向かうべく車を走らせる大野さん。空港の下をくぐって325号線へ出るルートを目指す。…のだが”土地勘があって、なおかつカンのいい方”なら既にお気付きかも知れない。
  「菊池渓谷を目指す」と言いながらも今回は「俵山峠〜中岳火口編」なのである。土地勘がない方には全くさっぱりなんのこっちゃな話だと思うので、話を進めよう。(一応さらっと補足をするならば、俵山峠〜中岳火口と菊池渓谷は全く逆方向だ、と言う事だ。)

 何事が起こったかと言いますと、「さぁ空港の下をくぐろう」と言う所で早速車が動かないのである。謎の渋滞と右往左往する警察官。暫し待てども全く動かない。動かないなら動かないで警官がなんか言ってくれりゃいいのにと思うも状況が変わる気配なし。道路の先を見ても空港の下をくぐるトンネルなので真っ暗。

「こりゃ動かんな。」

と大野さん。
急遽、回るルートを菊池→大観峰→阿蘇の予定から逆順に変更して、まずは阿蘇中岳火口を目指す事に。
この辺の臨機応変さはタクシー旅ならではである。
快調に車を走らせ28号線へ。

地図上で見るとこんな感じ。

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思いっきり南阿蘇を通過するルートだけれども、「後日歩かれる時におすすめのポイントをいくつかお教えしながら通過しますので。」と大野さん。南阿蘇は水源巡りをしながら阿蘇五岳を見上げる徒歩旅を予定していたので、徒歩ではとても行けない28号線通過は非常にありがたいし、どの辺が開けていて見晴らしがいいのか等、歩くときの指標もできると大助かりである。暫く阿蘇の土地の特色やら気候やら大野さんのガイドが続く中車は走る。

  暫く行くと目の前にX字をした橋が見えてきた。桑鶴大橋と言うらしいのだが、この橋は今回の旅の中で再三目にする事となる。今回は通過したので写真はナシ。いずれまた出て来る事もあろう。

  さてその桑鶴大橋を通過して数分、右手に風車がちらほら見えだした頃。大野さんは俵山大橋の手前でおもむろに車を止めてこう言った。「橋の中ほどまで行けば風車が良く見えるので、是非行ってみて下さい。」と。
ガイドブック等で見て一応気になってはいたものの「車がないと無理だよなー」と思っていた俵山峠なので、っどんな雰囲気なのか見られただけで良かった。天気は悪いけど、一応ぼちぼち撮影。

(D7100+Tokina107、13mm(20mm相当)、f/8、1/100、ISO100)

…したのだが、どうにも冴えない。やはり風車の立ち並ぶ景色と言うのは夏の青い空の下、積乱雲もくもくとした空に絡めるか、夕焼け朝焼けと絡めて撮りたいものだ。これだけ空が重いとちょっとばかりつらい物がある。やっぱり天気が悪いと風景撮影は気分がノッてこない。


植物と絡めてみてもやはり物足りない。
仕方がないので本来の目的地、阿蘇中岳火口を目指す。

  改めて移動をはじめ、俵山大橋からすぐの俵山トンネル、南阿蘇トンネルと2つ続くトンネルを通過すると一気に視界は開け、山間の峠道だった景色が広大な里山の風景に変わる。左手を見ると阿蘇五岳がどどーんと鎮座している。ここから見上げる景色は雄大で心躍るのだが、後に「南阿蘇徒歩旅」を予定しているし、予定外の所でいちいちタクシー止めてもらうのもちょっとなーと思ったので、写真を撮りたい気持ちを温存して先を目指す。

  先ほどの地図で言えばCの地点、いよいよ28号線を抜けて39号線に移ろうかと言うポイントに「あそ望の里 くぎの」と言う場所があるのだが、大野さん的には南阿蘇から阿蘇五岳を望む景色はここからが一番良いらしい。次いでおすすめは外輪山城山のふもとに立つホテルグリーンピアの辺りから見える光景だとか。この辺りはまだ観光地と言うには余りにもアクセスが悪く、まだまだ穴場的ポイントと言ってもいいのではないだろうか。あそ望の里からの景色の撮影も後のお楽しみに取っておくことにして、ここはひとまず目で楽しむのみ。ひたすら車は走り、いざ阿蘇パノラマラインへ。

  阿蘇パノラマラインと言うのは阿蘇中岳へと登る3本のルートで、下の地図で見ると、南から登る吉田線、北から登る坊中線、西から登る赤水線の三つの道からなっている。

大きな地図で見る

今回は最初の地図でも示した通り、南側、吉田線から登るルートだ。

  吉田線を登っていると大野さんが「パノラマラインのゆえんたる、パノラマの景色をお見せしますんで、どうぞ頑張って写真を撮ってください。」と仰る。

頑張って?

… と思ったが、大野さんは続ける。「広すぎて普通に撮っては写しきらんのですわ。」と。

そうこう言っている間に車は吉田線の中腹あたりへ。
そこから見えた光景は…






(D7100+DX16-85mm、16mm(24mm相当)、f/5.6、1/400、ISO100)

なるほどこりゃ確かに広い。

写真で少しでも伝われば良いのだが、生憎風景を上手く撮るセンスは持ち合わせていない。この広さ、”頑張って”の意味が身に染みる程に写真に収めるのは難しい。もう少し広く写るレンズに交換して撮影してみたのがこちら↓。

(D7100+Tokina107、10mm(15mm相当)、f/5.6、1/800、ISO100)
いわゆる魚眼レンズでの撮影だ。このレンズは180度の範囲が写るレンズなので、その広さも多少はおわかり頂けるのではないかと思う。どこまで行っても緑が広がっている。(※無理やりおさめただけなので写真としてどうなのって言うのはさておき)


いっそ部分的に寄って見た写真と比べたほうが広さが伝わるかもしれないが、いずれにせよ、折角の広大な景色は晴天時に望みたい所だ。せめて部分的に光がさしてくれると光芒が出て良いのだが、天気も優れないと気分も優れない。エンジンかかりきらぬまま再び火口へ進路を取る。


順調に火口を目指すのだが、要所要所で車は止まる。
目の前には牧場が。

遠くに牛ちゃん達が見える。これがあの美味しい美味しい赤牛さんだそうで。普段なら結構近くに牛が寄ってきたりするらしいのだが、この日ははるか遠くでぼんやりする赤牛。つくづく運がない。
 ここの牧場の名前は失念してしまったのだが、吉田線沿いにある牧場と言えば、調べても「池の窪ふれあい牧場」ぐらいしかヒットしないので多分それだろう。一応目印代わりに周辺の風景もちょこっと載せておく。
 

さぁここまで来れば中岳火口まではあと少し。
…なのであるが、この日は地上から見ても一目瞭然なぐらいに中岳には厚い雲がかかっていた。
ここで大野さんがポツリ。

こりゃ通行規制かかって火口付近は入れんかも知れんな。

「ええーっ、せっかくここまで来て…」
と思っていたら間もなく、あっさり阿蘇山ロープウェー駅に到着。
大野さんいわく、「阿蘇山と言うのは摩周湖みたいなもん」らしく、雲がかかれば視界が閉ざされ、晴れたら晴れたで風向き次第では強烈な火山ガスが発生するので通行規制がかかったりと、見れるか見れないかは五分五分と言った所だそう。いつ行っても霧がかかって見られない霧の摩周湖とはまた少し趣が違う気がするが、行って見れる確証がない、と言う意味では近いのかもしれない。


火口を見られないかも知れないと聞き、若干落ち込んでいると、再び大野さんがポツリ。

「行けん思ったけど、これは登れるな」

阿蘇山ロープウェー駅から中岳火口までは、ロープウェーで登るか、その脇の有料道路を登る形になるのだが、今回は悪天ながらも有料道路のゲートは開いていた。有料道路の料金は客負担で600円かかるので、タクシーで行く方は事前に準備されたし。

さて、中岳火口周辺はと言うと…

こんな感じに岩がごろごろ転がっている。阿蘇の火山と言うのは、雲仙や桜島のようにマグマが直接噴出するのではなく、水蒸気とマグマが触れる事による水蒸気爆発と言う形態が殆どだそう。なので爆発で削られた岩肌の破片が容赦なく飛んでくる事がある(最近はほぼない?)そうで、有事の際にはシェルターに逃げ込め、と言う事になってるそうだ。

まぁ正直有事の際は、たぶん間に合わないと思うんですけどね。シェルター結構遠いし。

で、肝心の火口は…と言うと…

残念ながらエメラルドグリーンの火口湖も見えず。もくもく噴き出す煙と、厚い雲に覆われ視界が非常に悪い。ただまぁ火山らしいっちゃらしいのでこれはこれでアリかなぁ、と言った感じ。
  なお、大野さんの言葉を借りると「火山ガスを吸うと、心臓病や喘息の人は死んでしまうし、健康な人でも1時間ぐらいはむせますよ。」との事。幸いそう言った意味では南からの風と雨のおかげで殆どガスを吸う事がなかったので、「かすかにガス臭い…かな?」程度で済んだのはラッキーと言えばラッキーかもしれない。(火口と火口観察ポイントの位置関係上、西や北から風が吹いてるとがっつりガスを吸う事になりそう。)

 そう言えばここまで触れてこなかったが、阿蘇山は山なのでもちろん標高はそれなりに高い。阿蘇山だけで見ると800m級。その割には麓の阿蘇や南阿蘇村から見上げても「あまり高さを感じない。」…と言うのは割と当たり前の話で、阿蘇地方は元より標高が500m位の高い位置にあるためだ。一方で雲と言う物は高度の低い物で300m前後から発生する。つまり阿蘇地方と言うのは、低い位置に雲が発生してしまえばたちまち霧の中にいるような状態になってしまうのだ。すぐ雲の中に入る、と言う事はそれだけ雨が降りやすいとも言えるだろう。

上のシェルター辺りの写真をご覧頂ければわかるかも知れないが、この日はもう既に厚い雲の中にいる状態。この先まともな観光ができるのか、この時点ではかなり不安であったのだが、長くなってきたので今回はこの辺で。

また次回、大観峰・鍋ヶ滝編へと続くのである。



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