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◆熊本旅行記 (高千穂編)
作成日:2013.09.11 更新日:2013.09.11 


   

 泥のような眠りから覚めた24日早朝。
テレビをつけるとこの日の予報も雨。梅雨前線がどんどん南下しているので当然と言えば当然だ。

この日の予定はこの時点ではまだ決まっていなかった。高千穂へ行くか、南阿蘇へ行くか。
ネットで詳細な天気予報を調べてみると南阿蘇は雨、ギリギリ高千穂方面は曇りのようだった。

…と言う訳で、行けるなら行っておこう高千穂。

 さて高千穂までのルートはと言うと、レンタカーやタクシーを使わないのであれば、産交バスの熊本⇔延岡横断特急バス「たかちほ号」を使うしかない。特急たかちほ号は一日二便の横断バス。二便目は帰り用の時間設定になっているので、高千穂で宿泊して翌日観光…でないのならば一便目を使う事になるはず。もう一日大野さんにお願いして高千穂案内してもらおうかなーとは思ったのだけど、前日の帰りの時点で結構お疲れっぽかったので、この日はバスで移動する事に。このバスで行くと、熊本駅前を9時11分(この記事を書いてる時点で)に出発し、高千穂バスセンターに到着するのが12時過ぎ。3時間もバスに乗りっぱなしになる。一応地図でもルートを見ておこう。


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距離にして80km。遠い。
昔は高千穂鉄道なる電車があったらしいのだが、今はもうこれがないのが致命的。

 あ、そうそう。この「たかちほ号」で熊本駅から高千穂バスセンターまで乗ると、片道2300円なのだが、往復割引券なるものある。これだと往復4000円と600円お得になる。しかしここには罠があって、この往復券は熊本交通センターでしか販売されていない。車内販売どころか始発駅で購入する事すらできない。その上、このバスは予約制ではない定員乗車制(先着乗車順)なのだ。つまり交通センターまで行って往復券を買って、交通センターで乗ろうにも、熊本駅からやって来たバスがこの時点で満員だったら終了なのである。まぁそうは言っても熊本駅から交通センターまで路面電車で行ってまた熊本駅に帰ってこれば路面電車片道150円の往復300円で済むので、高速バス片道分の300円は浮く形にはなるのだが。

 話が逸れたので本題に戻る。ホテルからのシャトルバスで熊本駅に移動。朝8時に熊本駅に到着し、とりあえずバスを待つ。1時間も早い到着だが、先着乗車順…と言うのが非常に怖いのでまぁ仕方ない。帰り乗れなかったらタクシーかと思うと色々げんなりするのだが、その辺もまぁ仕方ない。

たかちほ号を待っている間、長崎行きや宮崎行き、福岡行き等の高速バスがばんばん出発していく。高速バスを上手く活用すれば九州をうろうろするのには意外と便利かもしれない。

  そうこう言っている間にたかちほ号が到着。自分達が列の先頭だったが、この日は(※)結構スカスカだった。外国人観光客っぽい人々もちらほら。ともかく3時間の長い移動なので、うとうとしたり景色を眺めたり談笑したりして長いバス移動時間を過ごす。熊本駅前を出たバスは交通センター、くまもと空港等の要所を通過し快調に走る。
(※たまたまこの日は空いていたが、後日再び利用した時には乗車率は高かった。詳細はまた後ほど)

空港を出て暫く走ると初日に見たX字の形をした橋が再び見えてくる。

こんな写真では、「え?どこに?」と言われそうだがよくよく見ると真ん中に白いX字が見えるだろうか…。
まぁ仮に見えなくても、しばらく進んで行くとちゃんと通過するのでご安心(?)を。

…と言う訳で、ハイ来ました。

桑鶴大橋を抜け、あそ望の里や南阿蘇を通り抜けバスは走って行く。天気さえよければ…と言うセリフが出たのは何度目だろうか。天気のいい夏の日には一面青と緑が広がっているはず。生憎の天気で深緑と灰色だらけだ。

 暫くすると高森中央駅と言う、南阿蘇鉄道の終着駅でバスが止まった。特に予告もなかったが、トイレ休憩だそうだ。途中休憩ちゃんと取るなら公式HPに書いておくとか、事前にアナウンスしてくれとツッコミたくなったがまぁそこはそれ。正直眠かったのでバスから降りずにうとうと…。

 気が付くと再びバスは走りはじめ、ここから本格的な山道に入って行く。町とか里が見えない道をただただバスは走る。…と言っても道幅はそれなりなのでレンタカーで来てもなかなか快適そう。高森中央から小一時間ほど、バスは高千穂バスセンターに到着した。

  時刻は12時を過ぎた所。 高千穂バスセンターは宮崎交通のタクシー乗り場が併設してある。休憩中のタクシーの運転手さんをとっつかまえて話を聞くと「高千穂峡まで歩くと30分程はかかるだろう」とのこと。本来なら歩いてもいいのだが帰りのバスの時間を考えると高千穂に滞在できるのは4時間前後。時間が惜しいのでタクシーを使う事に。ちなみにタクシーだと基本的には740円〜800円位で行けるらしい。

  早速タクシーに乗り込み移動。タクシーの運転手さんと話していると、帰りのバスの事が話題に上がったので、すかさず「帰りのバスって混むの?」と聞いてみた。「こんな天気なら大丈夫ですよ(笑)」と運転手さん。まぁそりゃそうか。ちなみに滅多にないがピークの時は結構混雑して乗れない事もあるそうで、くまもと空港までタクシーで行くと15000〜18000円位、熊本市街地までで20000円位かかる事になるそうな。バスに乗れないかも知れないような時期に行く人はお気を付けを。

  タクシーの運転手さんに高千穂の事、高千穂神社の事、五ヶ瀬川の事など色々聞いている内に、すぐにタクシーは高千穂峡へ到着した。

 到着すると目の前に、以前写真で見せて貰った事がある高千穂峡の名碑があった。 観光客がかわるがわる記念写真を撮っている。 高千穂峡と言えば、ボートも有名な場所だけれどもタクシーの運転手さん曰く「この時間に着くと大体2〜3時間待ちですね。今日は天気が良くないので1時間半位待ちなので、もし乗られるなら先に受付済ませて下さい。」と。まぁボートに乗ってキャッキャうふふするような歳でもないし、時間に余裕がある訳でもないし…と言う訳でボートは回避。普通は地元民が車で乗り付けすぐにボート受付してしまうので、遠方からの観光客でボートに乗りたい人は長い長い待ち時間を待つか、レンタカーで早い内から車で乗り付けた方がいいのだろう。

てな訳でボートには目もくれず、遊歩道の方へ。
ちょっと進むと池があり…


何故かチョウザメがいる。チョウザメの説明はいいから、なぜここで生息しているかの方が説明して欲しかった。…のだがまぁ気にしない事にする。

早速峡谷沿いの遊歩道にすぐに降りてもいいのだが、ちょっとわき道をふらふら。

なかなか雰囲気があって良い所だ。

脇道を進むとちょっとした展望所があり、遊歩道を見下ろせる。

上の写真では小さく暗くしか写っていないが、奥に真名井の滝も見える。
天気の悪さのせいか、スケジュールがずらせない団体の観光客は来るものの、それ以外は比較的少ない印象。人混みは嫌いなのでまぁ悪天候で逆にラッキーと思うべきか。

なお、真名井の滝を撮るだけなら下の遊歩道で撮らず、この展望所から少し長めのレンズで撮った方が楽なように思う。まぁ手前の木がかぶり気味なので若干見栄えが悪いですが。

左の写真はAPS-Cで85mm(フィルム換算127.5mm)で三脚併用、ND4を装着して撮っているが、普段は右のようにボートがガンガン行き来しているので、よっぽど暇で気長に待てるのでない限りは悠長にスローシャッターを切れない。ボートがいない写真を撮りたい人は、ND400等の強いNDフィルターでいっそボートを流してしまった方が良いかもしれない。なお、ボートがいない時間に見たい人は、朝早い時間に車で来るか、観光客が帰ってしまった後や、夜ライトアップされている時期を見て来るのが良いと思う。

 さてずっと展望所にいる訳にも行かないので展望所から戻り、遊歩道へと降りる。
さっきまで人が全然いなかったのに、どこから沸いて来たんだと言う位に人、人、人でうんざりする。
一方で自然の方は、真名井の滝ばかり有名になってしまっているが、断崖の岩肌の質感の方が個人的には面白いと思う。…と言う訳で岩肌写真を何枚か(笑)








岩肌や五ヶ瀬川の流れを楽しみながら遊歩道を少し進む。



 しょうもない写真は色々撮ってしまったが、高千穂峡全体の距離はかなり短く、1kmあるかどうか、と言う印象。名碑の方から来るとすぐに反対側の端っこまで到着してしまう。端っこまで来ると「あららぎの茶屋」と言う茶屋が建っている。ここ(の前の自販機)で軽く水分補給。

 もうこの記事を書いている時には随分涼しくなってしまったが、8月24日は非常に蒸し暑く、簡単に脱水症状になりそうな程に暑かった。休憩中のお連れ様をほったらかし、トカゲやらセセリチョウやらアゲハやら植物やら色々撮っていると、あららぎの茶屋の駐車場で交通整理をしていたおじちゃんに声をかけられた。

「何か珍しい物は撮れますか。」

と。あからさまな観光客が高千穂まで来て、高千穂峡に目もくれず草むらの中とかにレンズ向けてたらやはり気になるのだろうか(笑) 

「ええ、植物とか虫とか地元と全然違うので(笑)」

と答え暫し話していると、このおじちゃんも一眼レフ(D3x)使いの人と言う事が判明。
おじちゃん曰く「今日みたいな曇りの日は写真にとっては良いよ。」との事。「?」と思いながらも話を聞いていると、どうやら快晴だったりすると、昼の強烈なトップライトが作り出す光で川面は明るく岩肌は影になりやすいので、風景を撮影した時に川で露出を合わせると岩が黒くつぶれ、岩に露出を合わせると川が白飛びしやすいから難しいのだそう。薄曇りでコントラストが弱いからこそ写真的には撮りやすいって事なのだけど、嬉しいやら、やっぱり晴れの景色が見たかったやらでなんだか複雑な思いに。色々話を聞いていると、高千穂峡にはハート形をした岩があったりするそうで、その場所やら、高千穂峡の事やら色々教えて頂いた。

 で、お連れ様の休憩も終わったようなので、再び入口方面を目指しながら写真撮ったりとかなんとか。


植物の生え方とかもなかなか面白くて良い。


オレンジ色したセセリチョウ。

で、↓が教えて貰ったハート岩

確かにハートに見えるけど、その左下がなんか変な顔に見える方が気になって仕方がない(笑)

暫く歩くと再び真名井の滝に戻ってくる。


上からと違って遊歩道からの方が木がかぶってなかったりして撮りやすい…反面スローシャッター切りづらいのでなかなか難しい。さすがに場所がアレなので三脚とか立てるとか論外レベルだし。

遊歩道を戻り、再び名碑の脇を通り今度は滝の反対側の橋の上から滝を見る。


こちら側はアングルは良い反面、場所が最悪なので、ゆっくり写真撮影するのには不向き。

まず第一に橋が細い上に車がガンガン行き来するので三脚は立てられない。この時点で滝撮影のお供のNDフィルター、三脚が封じられた形となる。さらに加えて、滝の奥川にいる監視員のボートが絶対に動かないから写真に写り込んでしまう。折角アングルがいいだけに勿体ない。対処をするなら監視員のボートが出る前の時間とかしかないんじゃないかなぁ。

 景色がいいのに、写真となると難しいなぁと思いつつも高千穂峡を堪能。高千穂峡を一往復してもまだ時間は少しばかり余っているので、今度は高千穂峡までの往路でチラっと見えた高千穂神社を目指す事に。そう言えばタクシーの運転手さんと言い、地元の人と言い、「たかちほじんじゃ」とは言わずに「たかちほじんしゃ」と言ってたけど、こっち特有なのか、高千穂神社特有なのか、どっちだろう…。

で、高千穂峡から高千穂神社まではと言うと、距離にして2q程。

大きな地図で見る
なのではあるが…道は全て登り坂。結構きつい。
加えて夏の暑さと、水場近く特有の蒸し暑さである。

あちこちから水が沸き出ていたりと、見た目には涼しげなのだが、とにかく暑い。

歩く事15分程。

高千穂神社の入り口に到着。
坂道を登って来たばかりだが、またここから階段を登るのである。
どちらかと言えば、高千穂神社までタクシーで来て、高千穂神社から高千穂峡と進んだ方が良かったかもしれない。もちろん帰りはタクシーで。

さて、高千穂神社だが…


狛狗たちの足元に、ちま狗が2頭ずついるのがまずかわいい。

階段をてってこ登ると、杉の巨木が並ぶ境内に。

阿蘇熊本からここ高千穂までずっと、”大きなもののスケール感”を写真で表現するのは難しいとしみじみだ。
ちなみに右上のは杉の根元がくっついた、夫婦杉。まぁ願掛けの多い事多い事。

と言った感じで高千穂神社のお参りを済ませ、高千穂バスセンターまでてくてく歩く。
道中すれちがった高校生(?)が大きな声で「こんにちわっ!」と挨拶してくる。

元気だな、高千穂民。

と言うか結構高千穂の人は高確率で声をかけてくる印象。
なんか、いいね。

そうこうしている内に高千穂バスセンターが見えてくる。
ほんとはもっと色々回りたい所もあったのだが、遠方からで1日しか時間がないとなるとどうにもならない。高速バスで来ると時間が限られるので、高千穂観光はタクシー貸し切りかレンタカーをお勧めしておく。 なお、天気が良く体力に自信があるのならばレンタサイクル(電動アシスト付き)と言うのも一つの手。4時間あれば天岩戸神社、天安河原なんかに寄っても大丈夫らしい。

高千穂バスセンターでバスを待っていると、さっきまで薄灰色だった空が一瞬でどす黒い雲に覆われた。雷鳴とともに猛烈な夕立。ほんと雨ばかりの旅だ。あとはバスで熊本市街地に戻るだけ、写真も期待できまい…とカメラも片付けてしまった。ここからは往路と同じ、長い長い熊本市街地までの3時間バス旅。帰りのバスの乗車客も、往路で見たような面々ばかり。外は豪雨。うとうとしながら熊本市街地へと帰るのでした。






長いまどろみの後、ふっと気が付くとバスの中には殆ど客がいない。バスはまだ熊本駅に到着せず。どうやら大抵の客が交通センターで降りてしまったらしい。行きはやはり先着乗車だから、と言う事でみんな熊本駅に来ていたようだ。ほどなくしてバスは熊本駅に到着。時は19:30。ホテルからの送迎バスももうやっていないのでてくてく歩く。言う程遠くないのが救い。

ホテルに到着後、例によってさっくりシャワーを浴びてこの日の晩飯。
2泊3日の内の2日目は予定が定まっていなかった事、遠方に足を延ばせる唯一のチャンスだった事などなどいろんな理由があって、晩飯はホテルのディナーバイキング。ここのホテル(全日空ホテル ニュースカイ 熊本)のディナーバイキングは調べた中で一番遅い時間(22:00まで、21:00LO&補充終了)まで開いている、と言うのがこのホテルを選んだ理由でもある。料金は一人頭3000円。ワンドリンク付で+500円、飲み放題で+1500円程。料理も値段の割にはかなり美味しいと言っていいんじゃないかな。まぁ流石にホテル飯って事で写真とかまったくありませんが(笑)

さてさて…
そんなこんなでこの日24日も終わって行くのでした。流石に前日23日の圧縮詰め込みに比べると随分アッサリした一日でしたが、まぁこんなもんでしょう。次回、雷雨の南阿蘇編へと続きます。







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