沖縄遠征 ~第四日目~

やんばるを堪能した3日目の夜。

ホテルへ戻るついでに運天港へと立ち寄ると、この日の2便伊平屋行きのみ船が出る事になっていた。
台風も南部をかすめ、あとは離れていくのみ。

これは行くしかないでしょ!
出航までは時間がかなりある。
しかし、伊平屋島に着いた後の食料を買い込んでおかないと、夜には店が閉まってしまう。
急いで近くのスーパーへ買い出しに。

食糧調達を終え、出航時間まで十分に休憩をする。
午後14時、ゆるゆると運天港へ移動し、往復の船のチケットを購入。
特にアナウンスも何にもないが、もう既に船への乗り込みは可能な模様。
僕のほかにも伊平屋に渡ろうとして、日帰り不可能と聞き断念する観光客はいたものの、それ以外はおそらく全員島の住人だろう。

船上でぼーっとしていると特にアナウンスもなく出航。
色々といいのかこれで感のある船出。

運天港を出港するとすぐに、昨日歩いた古宇利大橋が見えてくる。
[pe2-image src=”http://lh3.googleusercontent.com/-mu7j_QVYmlA/VhCMQQODABI/AAAAAAAAkOQ/fKDHk2fh1OI/s144-c-o/watermarked-DSC_4014.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/115537487755452117699/20150925_02#6201610897748852754″ caption=”” type=”image” alt=”watermarked-DSC_4014.jpg” ]

 海上から見るとまた印象が違って見えるが、とても美しい。
古宇利島の脇を抜け、いよいよ本島とお別れと言う頃合いに海上を見ると、トビウオたちがピチピチ飛んでいるのが見える。
噂には聞いていたけれど、こんなに間近でトビウオが見れるものとはなあと感心していると、次第に波が高くなってくる。
港の方はかなり凪いでいた印象なのに、やはり台風の影響はかなり大きいらしい。
船酔いには強い方なので何ともないのだが、立っていると海に放り出されそうな位に荒れていたので、到着まで大人しくすることに。

時刻はおおよそ16時半。
1時間半程の船旅ののち、いよいよ伊平屋島の前泊港が見えてきた。
[pe2-image src=”http://lh3.googleusercontent.com/-TUsZ4gXkWys/VhSzGQv7E7I/AAAAAAAAkto/QaiWrC5V0Zg/s144-c-o/DSC_3908.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/115537487755452117699/20150925_02#6202779506952573874″ caption=”” type=”image” alt=”DSC_3908.jpg” ]

 いよいよ、ついに、やってきてしまった!と言う感じだ。
かれこれ20年近く、来たい来たいと思っていたのが現実になっているのだ。

船を下り、辺りを見回すともう散々地図で見慣れた地形。
日没にはまだだいぶ早いが、車を走らせ早速目的のポイントへ向かう。
日没後に備えて現場を軽く見ておきたかったからだ。

暫く車で走り、目的のポイントへ到着。
早速入り口付近を確認。
写真で見るよりかは随分と入りやすいし、話で聞いた時には頭上にハブいたら詰むぐらいの印象だったけど、実際見てみると全然入りやすい。
なんだ、楽勝じゃん。
と言う訳で現地を荒らしても出て来なくなるだけなので、一旦車へ引き上げて、早めの晩飯。

もう気が付くと時間は18時。
辺りは随分薄暗くなっている。
人の気配は全くなく、うるさかった蝉の鳴き声もまばらになってきた。
しかしこうなって来るとポイントに入る時間が問題。
あまり早い時間に入っても出て来なくなるし、遅すぎても帰った後だとつらい。
流石に日没直後はいないだろうと踏んで、20時まで待ってみる事に。

連日のナイターで疲れが貯まっていたので、ひとまずアラームをセットして車で仮眠。
暫くして、アラームが鳴り響く…前に異様な暑さで目が覚める。
流石に日没後とは言え29度の車中で窓も開けずにいると暑苦しい。
ただ時間は丁度よかったので、装備を整えいざポイントへ。

入り口辺りにはイヘヤオオサワガニやらアラモトサワガニ等様々な巨大サワガニがいた。
ひたすらカニカニカニである。
踏まないように進むのがなかなか大変。
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 カニ地帯を抜け、奥に進もうと思った時、思いもよらぬ事態を前にする。
辺りを見回すと、倒木、土砂、倒木倒木、土砂、ガレキ。

聞いていたよりも全然進めそうな気配がない。
かなりハードな状況になり果てていたが、これもイヘヤトカゲモドキに会うため。
倒木をくぐり、ガレキによじ登り進んでいく。

しかしいるのは変わらずカニ、カエル、(カベチョロの)ヤモリばかり。
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 あとはなぜかこの日は超巨大オオゲジの脱皮祭りでした。
[pe2-image src=”http://lh3.googleusercontent.com/-UR2wIlwEthI/VhCL2JB5ONI/AAAAAAAAkLA/0_NEZkSLyWA/s144-c-o/watermarked-DSC_3933.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/115537487755452117699/20150925_02#6201610449142233298″ caption=”” type=”image” alt=”watermarked-DSC_3933.jpg” ] [pe2-image src=”http://lh3.googleusercontent.com/-9WNtLWeMiGM/VhCMbupz36I/AAAAAAAAkPw/eRzjrO594QY/s144-c-o/watermarked-DSC_3932.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/115537487755452117699/20150925_02#6201611094896926626″ caption=”” type=”image” alt=”watermarked-DSC_3932.jpg” ]

 しかし探せど探せどトカゲモドキの気配はなし。
諦めて一旦山を出て、他のポイントへ移動。
しかし移動した先もガレキや倒木だらけで、最初のポイントよりかなり状況が悪い。
暫く粘るも、全く出会えず。

仕方がないのでしばらく時間を置き、再び山に突入する事にして、しばしの休憩。
ただ、文字でさらっと書いてしまうとこれだけの事なのだが、20年近く会いたかった生き物である。
自分の病気の事、本州からくると、伊平屋島への渡航数日がかりな事などを考えると、探さずにただじっと待つと言うのはなかなか思い切りが必要だった。
数分がとにかく長い。

焦る気持ちを抑え、待つこと数時間。
一番状況がマシであった最初のポイントへ再突入。

しかし、いるのはやはりカニカニカニ。
やっぱり今日はダメなのか…と諦めかけたその時。

遠くでこちらを振り返る色鮮やかな生き物がいるではないか!!!

気が付くと、無意識にその生き物を呼び止めていた(笑)
言葉が通じる訳はないし、もちろん音を発するなど逆効果なのだが、焦りからか無意識に「待って!」と言っていた。

ガレキを飛び越え倒木をくぐり、やっと出会えたイヘヤトカゲモドキ。
[pe2-image src=”http://lh3.googleusercontent.com/-gysaAEkA8rM/VhCL3bI7dZI/AAAAAAAAkLI/iSAoNphy-ks/s144-c-o/watermarked-DSC_3936.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/115537487755452117699/20150925_02#6201610471183447442″ caption=”” type=”image” alt=”watermarked-DSC_3936.jpg” ]
イヘヤトカゲモドキ toyama’s ground gecko [Goniurosaurus.k.toyamai]
絶滅危惧IA類。沖縄県天然記念物。

なかなか立派な個体である。
大きさがわかる物を一緒に撮っておけば良かったとは思うのだが、後の祭り。
ただ、記憶を元に考えても、どう小さく見積もっても18㎝はあったと思う。
再生尾な事を考慮すると、18cmのニシアフレオパよりかはさらに二回りほど大きくすら見えた。
(うちのニシアフ小雨女史位はあった印象)。

急に人間が駆け寄り、テンパったイヘヤトカゲモドキ氏、頭は薔薇の蔓を超えようとするも、前足はくぐろうとしてジタバタ。
[pe2-image src=”http://lh3.googleusercontent.com/-FjVxodGUPZU/VhCMC6wW-zI/AAAAAAAAkMo/DFn10tpQzKk/s144-c-o/watermarked-DSC_3935.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/115537487755452117699/20150925_02#6201610668648889138″ caption=”” type=”image” alt=”watermarked-DSC_3935.jpg” ]

 可愛すぎか!!
と同時に少し不安になる。
野生の生き物がこんなどんくさくていいのかと。

やっと前足が地面につき、落ち着きを取り戻したので数カット撮影させてもらう。
[pe2-image src=”http://lh3.googleusercontent.com/-fSW1zQKi6cs/VhCL4b12-EI/AAAAAAAAkLQ/4wOisFgyQJc/s144-c-o/watermarked-DSC_3943.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/115537487755452117699/20150925_02#6201610488551766082″ caption=”” type=”image” alt=”watermarked-DSC_3943.jpg” ] [pe2-image src=”http://lh3.googleusercontent.com/-myqz3U0O_Yc/VhCMcjdUXpI/AAAAAAAAkP4/YoDPZkrwGUo/s144-c-o/watermarked-DSC_3946.jpg” href=”https://picasaweb.google.com/115537487755452117699/20150925_02#6201611109071609490″ caption=”” type=”image” alt=”watermarked-DSC_3946.jpg” ]

 ずっと憧れていた生き物、やっぱり生で見ると凄くかっこいい!
他の国産ゴニも魅力的だが、イヘヤは別格感がある。
バンドとバンドの間に模様が入らず、マットブラックな質感。
マダラトカゲモドキ程ではないにしても、ほんのり桃色が入った杏色の模様。
そして他の国産ゴニより体格が良い。
とにもかくにもカッコイイ。

しかし数枚撮ったところで、イヘヤトカゲモドキ氏がもそもそ歩き出す。
触ってはいけないにしても、手で進路を遮りさえすれば撮影は簡単に続けられる。
だがしかし、しかし!
現地の惨状を生で見て、必要以上に負担をかけるのは良くないと判断。
枚数は少ないにしても写真は撮らせて貰えた。
20年近い想いと別れるようでなんだかつらかったが、また会いにこれば良い。
そう思って静かに見送ることにした。

この後も他の個体に出会えないかと暫く探してみたが、結局出会えたのはこの個体だけ。
だけ、とは言ったが充分魅力的な個体に出会えたのでむしろかなり運が良かったと思うべきだろう。

さらばイヘヤトカゲモドキ、また会う日まで。

なお生息環境の狭さ、天候による弱さ、外敵の多さをこの目で見て、図鑑に書かれている以上に致命的な状況にあるのだと実感させられました。

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