先週の金曜日のこと。

我が地域は今シーズン一と言っても過言ではないぐらいの雨が降った。

折角月齢が良い感じな連休なのに夏の雨…

となると樹液や灯火があまり期待できず、探せる可能性があるとすれば両爬ぐらい。家でぼーっとしていても退屈なので、レインウェアを着込んで山を目指す。

時折雷を伴う豪雨とは言え、殆ど風は吹いておらず気温は比較的穏やか。足元にさえ気を付けていればなんとかなりそうだ。

我が地域で両爬を狙うのはひたすら不毛なのだが、まあ外の空気吸ってるだけで楽しいと言えば楽しい。

特に何かを狙うでもなく比較的生物が見やすいポイントを巡っていくも、雨量が多過ぎるのかいつもと違って何もいない。ダメ元で出て来ているんだと自分に言い聞かせ、無心でひたすら歩く。

すると沢と化した登山道脇の茂みの奥に…

オオトモエ。

流石にこの豪雨では飛びたくない、と言う事だろうか。

こう言う天気の日は茂みの奥に結構大物が隠れている事が割とあって、宝探し的な感じがあったりなかったり。普段と違って豪雨の中では音や気配を頼りに生物を探す事も出来ないし、雨具のせいで普段より視界も狭い。被写体を見つけてからカメラを出せばいい捕獲撮影とは違い、悪天候でも機材は剥き出しがデフォルト。撮影機材も気にかけながら…となると集中力も落ちる。ルッキングのレベルを一段、二段も上げねばならない感覚。

強制的に神経を研ぎ澄ませなければならないので、雑念の多い日に無理やり集中力を上げるのにも案外良かったりする。

などと思いながら降りしきる雨の中、ひたすら隠れている生物を探すもやっぱり何も見つからない。

日付が変わろうかと言う頃、ポイントを移動するため斜面を下り、登山道に出た所で不意に…

ああっ!!?

ついこないだ撮りたい絵面があるって言ったばっかりのシンジュサンじゃねえですか!

なんで登山道に倒れ込むように撓ってきた竹に止まってんのかは知らないが、一応雨宿りのつもりなんだろうか。

それにしても、ずっとライトでも会えなかったシンジュサン、我が地域でも生き残っていたんだね。クヌギか?クヌギ食って生き残ってんか?


幼虫が視界に入らないのはきっと樹高のせい、と思いたい。

さて折角初めて灯火に頼らない林内で出会ったので、色々撮っておきたい。

まずは顔を狙うも…

うおおおん…微妙に隠れて見えない…!!!

手を伸ばして無理やり上からのアングルも狙う。

かっ、かわっ…

折角濡れにくい場所に止まったのに、豪雨のせいであんまり雨を凌げてないが、必死にしがみついている姿が可愛すぎる。

シンジュサン…と言うかヤママユガ科全般そうだけど、なんでこうも顔面可愛いんだろうねえ…。はぁ~…。

しかし色々アングルを模索するも、僕が好きなアングルは枝に邪魔され撮影出来ず、正面顔も葉っぱが邪魔…

そうこうしている内に機材もずぶ濡れ。つら。

豪雨の中でしばらく考え込む僕。

今年の2月頃、「きっとこのレンズでヤママユガを昼に撮れたら楽しいだろうなあ」と思って購入したレンズの存在が頭の隅でモヤモヤ。でも雨で夜だしなあ…などと少し躊躇ったが、色々ケチの付いたあのレンズ、もういいやぶっ壊れても。と開き直る。

そう、あのレンズ、Laowa 10-18mmである。

普段鞄の中でただの錘になっているコイツだが、こんな時に使わんでいつ使うんだ、と。

雨の中のレンズ交換はなかなかハードルが高いが、なんとか換装。
カメラとライティング機材をセットしていざ撮影。

・・・

ちょ、ちょっと!

予想はしてたけど、出目金レンズに雨滴がたまるんですけど!w

これはつらない…?


わかってはいたけどどうしようもない。
ブロアで水滴飛ばしたり、雨が弱まるのを待ったり、雨を遮る工夫をしてみたり。

しかしほんとどうしようもない。
ので、一応天気予報を再チェック。

雨が酷くなる予報
いやー…無理でしょ…。足元の登山道も濁流と化しつつあったし。


しかし、広角で大型蛾に寄って背景入れてって撮影はちゃんと一回やっておきたいところでもあるので、レンズに雨が溜まる前に狙った通り撮れる方法を模索。
色々策は思いつくも、画質が下がるか、期待した通り背景が起きないかがほとんど。この時出来る方法は思いつく限り試したが、いずれも上の写真よりマシな結果は得られず。

って事で2時過ぎぐらいに一旦撤収。

残された方法は一つ。
空が明るくなってきた頃に撮影すれば、露光時間も減る。
幸か不幸かこの日は昼までずっと雨。
雨宿りだとすればワンチャン飛び去らずにそのまま朝までいてるかも知れない。

早朝に備えて機材を整備しなおす。

そして…夜明け…。

雨雲がどんより重たい。

かすかな望みに期待をかける僕の心もどんより重たい。

脇目もふらず、シンジュサンがいたその場所へ向かう。

…が…

当然そこにはなにもおらず…。

そりゃそうですよね。

明るくなったら普通はどっか行きますよね。

アー…

虚無。

まあ、良い方に考えれば、また次の楽しみが残ったと言う事でもあるし…と言う事に…。
っても、2年に1匹ぐらいしか今のところ見れていないので、そう次があるのかと言われるとうーん。

出会えたところでまともに撮れる状況なのかと思うとうーん。

うーん(笑)

シンジュサンはライトラとか街灯でも見た事無いしなあ。望む絵面が撮れるまでにはなかなか時間を要しそうだ。

いやー…でもやっぱ好きだわ。シンジュさん。

なお最初に見つけた時にまだ起きてた友人(MIZUMAちゃん)に写真を送り付けたところ、2時ごろ一旦帰るまでの間にお得意のモノクロ化やってくれてました。ありがとーごぜーます!

曇天の空見上げたみたいだ。

ちなみにちなみに。

シンジュさんの雌雄は後翅の外形や腹部で判別付くらしいけれど、正直僕にはこの個体がどっちかはわからん。解説してあるサイトなんかを見ても、使用レンズ(カメラ)が記載されてない事が多く、レンズによるパースで結構どっちにでも見える案件が多過ぎて正直困る。


余談。

とりあえず、言っておけば見られる気がして来た今日この頃なので、言うだけ言っておこうと思う。

ノコギリスズメ(また)見たい。謎の北風で是非ペアで連れ立ってお越しください。
イブキスズメ見たい。訳の分からん東風で吹き飛ばされて来い。
トモエスズメ見たい。台風で飛ばされて来い。
ハガタスズメ見たい。台風で飛ばされて来い。

なんとなくオオクワガタ撮りなおしたい。
本州で見られそうなカマキリの内見てないウスバカマキリ一回写真撮っときたい。

探しに行くのめんどくさいけど、トラツリアブ撮りたい。自宅の庭に発生しろ。

それからおまけで蛇さんのえっちぃ写真はもっといっぱい撮りたい。

あと最後に

5000兆円欲しい。

頼むぞ。

2 Comments on “神樹蚕”

  1. シンジュサン遭遇おめでとうございます!
    しかし豪雨の中での遭遇とは…w
    なかなかうまくいかないですね。

    雌雄はたぶん腹と翅の感じからオスですね。

    • ありがとーごぜーます!
      建造物についてるところしか見た事が無かったので嬉しいです。
      いやー…ほんと自然は都合よく行かんですね。またきっと会えると信じて…

      あー、雄ですか。
      飼育してたやつそう言えばどうだったかなーと見返したものの、卵産んでた奴見ても「???」ってなりましたw

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