彼の地にて

昨年の丁度今頃ぐらいから9月の中頃まで、毎晩誰も来ない谷筋に通ってきているマムシがいた。
寝姿勢探る姿を見せてくれたり、僕が通ってもふっと頭を擡げて様子を見、そして再び何事も無かったかのように眠ってしまったり、時には沢の流れに身を沈めてみたり。

毎夜毎夜色々な姿で僕を楽しませてくれたその個体だが、9月の中頃を過ぎたある日、いつもの場所には来なくなってしまった。季節的にはまだマムシが活動をしなくなるには早く、他の場所へ赴けば活動している個体もかなりの数が見られる時期。
当時のポストでも書いたが自然は過酷だし、陸の孤島でマムシが活動できる場所は蛇にとって危険だらけなので、いなくなった…と言う事はつまりそう言う事だろう…と頭の片隅で理解し、記憶の奥底へ追いやっていた。

それが昨晩…

件の個体に出会った倒木の上で、とぐろを巻き、顔を少し持ち上げ周囲の様子を伺うマムシの姿が見えた。

その姿を見た瞬間は「この場所ってマムシに人気のポジションなのかな…」と思ったが、1時間程眺めていても姿勢を変える程度で逃げる様子もない。

また危機管理意識の低い個体か…とその場を堪能した後帰路に就いた。

のだが…

帰宅して、現像して、ようやく気付いた。

「コイツ、去年のあの個体じゃねーかw」

と。

僕は目が悪いので現場では細部まで見えていなかったのだが、写真を拡大して見たら鱗の中の細かい模様が完全にそいつだと言っていた。


とにもかくにも去年あれだけ楽しませてくれた個体が無事生き延びていたことが嬉しい。
出来る事なら今年いっぱい、そして来年もまたコイツと出会いたいものだ。

(毒蛇でも特定生物でもなければ迷う事無く連れ帰っているのだが。)

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