今年は月のタイミングが非常に悪く、このままではウスタビガに会えないのではないか疑惑が強かった。

―――そんな時に昨夜は小雨予報。

ウスタビガの雄は昼行性(と言うより薄明薄暮性?)。
雄は雌のフェロモンに誘われるがまま樹冠を飛び回り、雌は自身の繭にぶら下がりその位置のままフェロモンでコーリングすると言われている。このフェロモンを散布できるのは未交尾の雌に限られ、夜間に灯火に誘引されるのは産卵を終えた/産卵場所を探している雌が大半らしい。従って灯火でウスタビガを探すとなると、産卵後の雌位しかまともに狙えない。つまり灯火に雌が集まる時期はシーズン後半戦に入ったと思った方が良さそうだ。

しかしそうは言っても、だ。
もう11月は中旬。昨年だと陸の孤島や近隣市町村では灯火に飛来する雌は見られた時期。
雌だけでも狙うしかない。(※下界に行けば12月入っても多分いるはずだけど)

しかししかししかし。これから暫く天候と月がほんっとうに悪い。とにかく悪い。めちゃくちゃ悪い。

月が良くなってくる頃にはもうウスタビガには手遅れと言う事も考えると、今日のような急な雨は恵みの雨。

これはもう行くしかないのだ。(結局毎日どこかへ行く)

と言う訳でですね、前置きめっちゃ長くなったけど、僕が知る限りでかつ無理なく(?)帰ってこれる範囲で最もウスタビガが狙いやすい場所へ行ってきた。

その場所は家から2時間と少し。到着後早速ウスタビ繭が大量にぶら下がっていた木を見てみる。

完全に出た後…ですね…。

他の繭も見てみるが大体薄汚れた状態。大型蛾は飼育した経験上、羽化直後に不要な体液なのか排泄物なのかを出すので、ウスタビガの繭もそれで汚れてしまうのだろうと思われる。

いやそんな事はどうでも良いんだ。
はよ成虫を…と、灯火や食草を見て回るも気配がまるでない。
灯火の下には翅が転がっていたり、確実に出た痕跡はあるのに、だ。まあどれもかなり新しい感じなのでおそらく前夜にそこそこの数が出たのだろう。

暫し彷徨うもひたすら出会えず。

そうこうしている内にタイムリミット。メインのポイントを外れ、LED街灯が並ぶ通りに出て帰りの支度を始めた時。


視界の隅に巨大な黄色が動くのが見えた。

お?

ウスタビ先生じゃないですか。

全力飛行ではなく一応走ればなんとか追い付けるレベルの飛翔だが、カメラの設定を変える余裕なんて全然無い。

なんにしても落ち着いてくれんと帰宅が間に合わなくなる…。のだが、所詮はLED灯。水銀灯や蛍光灯のように確実に誘引する程の魔力も無い。

しかし相手も光に惑わされてまともな飛行が出来ない模様。
これは何としても撮るしか…

ってな訳で、ウスタビを驚かさない程度に距離を取ってひたすらストーキング。

LEDに近付く度平衡感覚を失うのか、地面に着弾したり法面にぶつかったりしていたが、 そうこうしている内に一瞬地面に着地。

そのタイミングでやっとこパシャリ。
なんとか隙をついて最低限の記録だけは撮る事が出来た。

今年最後の大型蛾、無事記録写真だけ…(苦笑

さて、この個体の状態や例年の発生時期的にはまだ少しチャンスは続くはずだが、気圧配置を見る限り、そして月齢を見る限り、シーズンが終わるまでに再びチャンスが巡ってくる事は無いかも知れない。

雄もあんまり見とらんし久々に見たかったが、流石に近隣地域ではちょっと難しい…かもねえ…。時期的にも。

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