今日は小さいものをいかに拡大して撮るかと言うカメラのお話し。
早速だが、被写体の大きさが小さくなればなるほど、撮影に要求するシステムがシビアになる。

一般的な昆虫サイズの撮影なら、市販されているいわゆる等倍マクロレンズを使えば事足りる。
フルサイズセンサーなら等倍マクロで36mmの物が、APS-Cなら24mmの物が画面いっぱいに写せる計算だ。
センサーサイズが小さくなればなるほど見かけ上の倍率は上がって行き、m4/3なら18mm、Nikon1等の1インチセンサーなら13mmの物が画面いっぱいになる。
但しこれは見かけ上…と言うか、出力サイズを統一した時の話。
切り出し後の解像力さえ十分なら、フルサイズから切り出しても結果は変わらない。

ここでTG-4のような顕微鏡マクロを売りにしているカメラを使えば最大27.7倍もの高倍率撮影が可能。
一般的な用途から言えばこれで十分と言える。予備バッテリーだのSDカードだのディフューザーだの一式揃えて大体5万円。
いやほんと凄いから。

ただ、一眼レフを趣味の道具とするならば、やっぱり画質にはもう少し拘って行きたい所。
フルサイズ、せめてAPS-Cで拡大率を上げるにはどうすればいいのか。
キヤノンならMP-E 65mm F2.8 1-5xなんて言う純正レンズがあるので、これを使えばフルサイズで最大5倍、APS-Cなら8倍相当(本当は最大撮影倍率は換算してはいけないのだが、今回はこのまま換算表記を使う。まあ4.5mmの物が画面いっぱいに写る)の撮影ができてしまう。
MP-E 65mmが使えるシステムなら比較的お手軽に高倍率撮影が可能だ。
求める倍率が8倍までなら最も手軽な方法かもしれない。こちらは実売で大体10万円程。

さて、僕のようなNikonユーザーだったり、他のマウントユーザーでMP-E 65mmが使えないシステムではどうやって高倍率撮影するのか。方法は幾つかある。
①テレコンを併用する方法
読んで字のごとくテレコンバーターを使う方法。本来テレコンは望遠目的で使うのが一般的だと思うが、マクロ用途においてもまあまあ便利。
テレコンの倍率が単純に最大撮影倍率にかかるので撮影倍率の計算も至ってシンプル。
例えば等倍マクロに2倍テレコンを使えば最大撮影倍率は2倍となる。
そのままAPS-Cカメラで使えば更に1.5倍の3倍相当となり、12mmの物が画面いっぱいに写る計算。
お手軽な反面倍率はこの辺りが頭打ち。
当然m4/3と併用して4倍相当、Nikon1と併用して5.4倍相当なんて使い方も可能と言えば可能だが、画質に拘るとなるとちょっと微妙。
欠点としてはテレコンによる画質の劣化が目立つ点で、特に等倍を超えた撮影における各収差の拡大はつらい所。
お手軽で、使うカメラ、テレコンによってはAFもそのまま可能なのは良いトコロ。
入手手段もその辺の量販店で購入可能なのでかなりハードルは低い。
Kenkoの安いテレコンなら1万円ぐらいからある。

②中間リングを併用する方法
中間リングと言ったり接写リングと言ったりマクロチューブと言ったり、メーカーによって呼び名は色々。
こちらもお手軽だが、倍率の計算はテレコンより少し複雑。
詳細は他所に委ねるが、基本的にはテレコン以上に倍率が上がる事はまずないと思ってよい。
またレンズの焦点距離より厚みのある中間リングは使えないし、望遠レンズではケラレる事もある。
撮影倍率を上げると言う用途ではあまり優れているとは言い難く、どちらかと言うと等倍未満のレンズで接写を楽しむためのアクセサリ。
広角マクロの為に仕方なく使うと言うケースはあるが、レンズ毎に必要となる中間リングの厚みも異なるので、運用はなかなか難しい。
但し後述のリバースや、ベローズを併用して、微調整役を果たす事はよくあるので、高倍率沼にハマる人は持っていて損はないかも知れない。
こちらも量販店やカメラ店で購入可能。こちらもKenkoのものなら大体1万5千円から。

③リバース撮影
いわゆるレンズ逆付け。
どうやって付けるのかと言うと、ニコンの場合はBR-2Aリングと言うリングが純正から発売されているので、コレをレンズ先端のフィルターねじに装着する。
フィルター径は52mmのレンズならメーカー問わずに逆付け可能となる。
ステップダウン、ステップアップリングを併用すれば52mm以外のフィルター径のレンズでも装着可能で純正BR-5リングを併用すれば62mm径にも対応する。
デメリットは色々あって、まず電気信号がないので、カメラ内の露出計が効かなくなる機種が圧倒的多数。
露出計が動かないと言う事は、絞り、シャッタースピード、感度を手動で設定する必要があると言う事。
更にGタイプのレンズ(絞り環がないレンズ)を装着すると、絞りの操作が非常に困難になるので、基本的には絞り環のあるDタイプレンズでの運用が前提となる事などがある。
また撮影倍率の面においてはレンズが広角であればあるほど撮影倍率が上がる。
上記条件を勘案すればAi AF Nikkor 20mm F2.8S あたりが高倍率撮影向きと言える。
このAi AF Nikkor 20mm F2.8Sをリバース装着した場合での撮影倍率は3.4倍。APS-Cなら5.1倍相当となりかなりの高倍率撮影が可能となる。
28mm位のレンズでは撮影場率が2.8倍前後、35mmでは1.8倍前後となり、広角レンズがないならあまり有用な方法とは言い難く、取り回しの面で中間リングやテレコンに大きく劣る。
NikonFマウントの場合はアダプター自体はヨドバシカメラ等の大手、カメラ店などで購入可能。
リバースアダプターBR-2A、BR-3リング、BR-5リング一式で5千円ちょっと。古いDタイプレンズは安いズームを探せば5千円位から。
実際家に転がっていた1万円もしないDタイプのズームレンズで試してみた所、割とよく写る印象。(※被写体はカメムシ)
ISO3200,F8,1・60手持ち撮影なので、ライティングちゃんとやれば一線級かも。

④ベローズ
いわゆる蛇腹。
原理を書くとそれだけで数ページになってしまいそうなので、詳細は割愛。
フレキシブルに動かせる中間リングのようなもの…と思えばわかりやすいのかな。
一般的なカメラレンズも使えるが、どちらかと言うとベローズ用のレンズ(引き伸ばしレンズ)や上記のリバースを併用するのが一般的。
20mmのリバースを併用すれば10倍以上の撮影倍率も可能だけれど、システムとして大掛かりになる事が難点。
また蛇腹と言う構造上、耐久性にも難ありで、フィールドでガシガシ使っていくようなシステムでもないのがつらい所。
フィールド出る人なら使う倍率を決め打ちで中間リング多重の方が安定するかもしれない。
現役で販売されているベローズが殆どないので、主な入手先はオークションや中古ショップ。
ベローズの種類自体はピンキリで、安いのなら1万前後からあると思うけど、ちゃんとしたのを選ぶと3万位。

⑤顕微鏡対物レンズ
顕微鏡の対物レンズを使って撮影しようと言うのがこの方法。
昔は各社からマウントアダプターが出ていたらしいが、今はあんまり作っているメーカーは多くない模様。
今はRMS→Tマウント→カメラマウントと言う形でマウントして行くのがシンプルかな。
他にもCマウントやM42マウントを経由して装着する方法もある。
なんせマウントアダプターが一般的じゃなくて、入手がめんどくさいのがかなりの難点。
こちらもベローズなんかと併用するのが一般的。
RMS用のアダプターは一般のショップではあまり取り扱われていないので、メーカーに直接問い合わせたり、オークションで手に入れたりが中心になると思う。
対物レンズ自体は1万円位あれば購入可能。マウントアダプターは3千円前後からあるけれど、最終的にカメラマウントまでの間にいくつ重ねるかで値段が上がって行く。
ベローズや中間リングを導入しないとフランジバックが足りないので、その分も必要。

大体撮影倍率を上げる手法としてはこんなところ。
あとは求める倍率を計算(被写体の大きさから逆算。例えば2mmの被写体をフルサイズで画面いっぱいに撮影したければ36/2=18倍)してやれば求めるシステムの形が見えてくる。
僕の場合はそもそも肉眼で見える被写体までが殆どなので、せいぜい10倍ちょっとの撮影ができれば十分な訳だけど、画質と操作性のバランスがなかなか難しい。

ちなみにアイキャッチに設定しているハエトリの子供は大体2mm位の大きさなのだが、こちらはD500に2倍テレコン+等倍マクロ+レイノックスDCR-250(8ディオプター)で撮影している。
計算がめんどくさいので凄くざっくりだけど、倍率で言えば大体6倍ちょっとかな。
超高倍率撮影にしては取り回しは楽な方だけど、ただいかんせん画質としては御覧の通りあまり良くない。

スッキリシャッキリした写真にしたいと言うのが当面の目標。
まぁこのシステムでも手ぶれをなくしてピントを追い込めば良くなるのかも知れないが…。

ところで、Picasa亡き今、ブログに写真をはっつけるのがかなり面倒になってしまった。
Googleフォトからだとパーミッションが変わったのか、このブログから呼び出す事が出来なくなってしまった。
まぁ画像URLを直接入力すればいいのだろうけど、それはちょっとダサいのでなんかいい方法を考えたい所。

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