昨年春ごろからずっと理想の蛇撮り用光学系を求めて実験を繰り返していたが、既製のレンズには適任が無く、結局何かを妥協しなければいけない…と言う結論に達した。

妥協する機能としては以下のどれか。
①AFの速さ、手ぶれ補正を諦める
②最大撮影倍率(顔アップやヒバカリ幼蛇等を諦める)
③焦点距離を諦める

①のパターンは、古いラインナップのレンズを使えば蛇用に使いやすいレンジの製品がちょろちょろある。但しAFすると動作音で蛇に気づかれ逃げられるし、何より状態の良いレンズが無かったり、メンテナンス性で難があったり。
②は最新の大口径望遠ズームを使うパターン。デメリットとしては寄れてもとぐろ巻いたヒバカリの全身像位で、大型蛇でもなければ顔アップは厳しい。あとレンズが大きく重い。但し画質で言えばトップクラス。
③レンジの短い等倍マクロや、最大撮影倍率の高い広角系レンズを使う方法。臆病で神経質な蛇を相手にするには距離不足な事が多いが、それ以外は高いバランスでまとまっている。

こう並べてみると、③の方法が一番いいように見える。
フィールドの爬虫類写真を撮る人の多くもその方法を使っている事が多い印象。

実際蛇の場合は、可能な限りで広角のレンズを使い、環境の雰囲気を入れつつ限界まで寄るのがかっこよく撮る基本(あくまで基本)だと思うけれど、やってみればすぐわかる通り野生動物に対してそんな撮り方はほとんど不可能。
蛇をコントロールして良い塩梅にしてから撮る方法やトレイルカメラの類を除いては蛇に広角で自然に寄れている写真は少ないと思うし、また、僕自身これまで野生蛇は約5桁の個体数を見てきたが、広角で撮れるレンズ先端数cmまで寄って逃げない蛇なんてのも一部の蛇の特定のタイミングを除いて見た事がない。
大抵の場合蛇は人に気付くと逃げるか潜むもので、向かって来る、飛んでくるなんて言うのは退路を断って詰め寄った時だけ。
自分はどちらかと言えば、蛇に鎌首もたげさせた写真より、蛇が人と出くわした時の自然な反応…あるいは、人に気づく前の自然な状態の写真が撮りたいと言う願望の方がかなり強いので、そう言った理由から③の手法は限定的にしか使えない。

お金を最もかけずに、最も写真として目を引くのは③の方法で撮った物だとわかっていても、望む写真ではないのであまり使えない。
で、②の手法も候補に挙がる訳だけど、蛇を見つけてじりじり距離を詰め・・・と言う撮り方で行くと、ある特定の距離からレンズの限界により近寄れなくなる。
大体のケースであと半歩は詰められるのに、と言う状態に陥る。
これを解消するには、その大口径望遠ズームより、最短撮影距離の短いレンズを付けたボディをもう一台持っておくと言う方法。
欠点は言わずもがな、重く、でかく、取り回しが最悪と言う事。
逆にそれらが耐えられるなら理想のシステムともいえる。

となると現実的なのは①の方法。
AFはMF技術で、手ぶれ補正はライティングや撮影方法でカバー。
と言うのを試したのが上のニホントカゲ写真。

完璧とは言わないけれど、求める撮り方に最も近いのはこれかなあ…と言う印象。
ただし、まだまだ詰める所はあるので、研究改善は当面続きそう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です