現在位置:index / 餌とその管理
◆ニシアフリカトカゲモドキの餌とその管理
作成日:2010.09.11  更新日:2011.11.04


■餌・給餌
◇これからニシアフ・レオパを飼う方へ◇
 ニシアフリカトカゲモドキも、ヒョウモントカゲモドキも基本的には昆虫を食べる生物です。餌となる昆虫はコオロギやワーム(芋虫状のもの)、レッドローチやデュビア等のゴキブリの仲間などです。人工飼料を食べる個体もいますが、基本的には昆虫を与える物だと思って下さい。個体ごとの好みによって、コオロギしか食べない、ワームしか食べないなど様々な個体がいますが、どんな個体にも対応できるよう準備はしておきましょう。万が一コオロギもワームも食べない個体を迎え入れてしまった場合に、「デュビアが触れない!」なんて言う事があると生体を死なせてしまうことにもなりかねません。

◇餌の種類◇
 諸説あるのでどれがお勧め、とは言い難いのですが、前述したようにヨーロッパイエコオロギ(イエコ)やフタホシコオロギ(フタホシ)等の各種コオロギや、ミルワーム、ジャイアントミルワーム、ハニーワーム、シルクワーム等の各種ワーム類、レッドローチやデュビア等のゴキブリ系、ピンクマウス等が餌として使えると言われています。参考までに、ヒョウモントカゲモドキのブリーダーとして有名なロン・トレンパーはガットローディング(※後述)をしたミルワーム単食、ニシアフリカトカゲモドキのブリーダーとして有名なJMG Reptilesではヨーロッパイエコオロギ単食で飼育しているそうです。我が家では冷凍フタホシコオロギを中心とした餌を与えています。

◇栄養の添加◇
餌が偏ったり、あるいは餌を冷凍すると栄養価のバランスが悪くなるので、餌にカルシウムや各種ビタミンをまぶして(ダスティングして)与える方が良いと言う意見もあります。 また、爬虫類の餌となる虫などに小松菜など高栄養素の餌を与え、餌虫の栄養分を高めるガットローディングと言う手法もありますが、ダスティングやガットローディングの必要性については証明されておりません。やるべきか否かは個人の判断に委ねられています。

◇各餌の特徴◇
【活コオロギ】
 フタホシコオロギにせよ、ヨーロッパイエコオロギにせよ、活コオロギをニシアフリカトカゲモドキの主食としている方は多いのではないでしょうか。 ガットローディングもダスティングも簡単で、素早く動く事からトカゲモドキ達の反応も良く餌付けるのが簡単な虫だと思います。 欠点は幾つかあり、リン:カルシウム比が悪く、何らかの方法でカルシウムを補う必要があると言われています。 またビタミンも不足気味です。活コオロギをキープするにはそれなりの面積が必要で、 コオロギは狭い空間に押し込められ密度が高くなると、積極的に共食いをしてしまいます。 また清潔に保っておかないと、自らの排泄物に中毒症状を起こして簡単に死んでしまうので、慣れない内の活コオロギ維持は大変と言えます。

活コオロギ比較
ヨーロッパイエコオロギ フタホシコオロギ
臭い 強い
肉食傾向 あまり強くはないが、過密飼育だと共食いをする。 強い。共食いも良くする。
丈夫さ 並。乾燥や低温、餌不足にもやや強い。(とは言え所詮昆虫なのであくまで比較論) 弱い。多湿や低温、餌不足ですぐに死んでしまう。
栄養 比較論だが、イエコよりやや多いと言われている。
行動力 高い。ジャンプも高く、移動も素早い。 遅い。


【冷凍コオロギ】
 解凍作業が一手間ですし、冷凍庫にコオロギをストックするのは抵抗があるかもしれません。 が、それを除くと保管が楽で、共食いで数が減ることもありません。 ガットローディングはできませんが、ダスティングも容易です。 活コオロギに比べると更にリン:カルシウム比が更に悪いと言われています。 ピンセットに慣れている個体ならばすぐに食べてくれるでしょう。 下の動画はアダルトサイズの個体に冷凍フタホシを与えている所です。


【ワーム類】
 ミルワーム、シルクワーム、ハニーワームは外殻も柔らかく動きも少ないため与えやすい餌と言えるでしょう。 ヒョウモントカゲモドキはワーム類に良く食いつきますが、ニシアフリカトカゲモドキは慣れている個体飢えている個体を除き比較的食いつきが悪いように感じます。 気をつけなければならないのは、ミルワームはゴミムシダマシ科の昆虫の幼虫ですので、成長して成虫になってしまうと餌として与える事ができません。 低温環境で管理する事で成長を抑制する事が可能です。 ジャイアントミルワームは外殻が硬く、消化に良くないとよく言われており消化不良を起こす事もあります。 またジャイアントミルワームは顎の力が非常に強く、トカゲモドキの腸を食い破るケースも報告されていますので、心配であれば与える際に頭を潰して与える方がよいでしょう。 それからハニーワームは嗜好性が非常に強いらしく、一度食べるとそれ以外の餌に見向きもしなくなるケースがあるそうなので注意が必要です。拒食をした場合の最後の切り札に取っておくのも良いかもしれません。ただしこの「一度食べると」と言うのが曲者で、拒食している個体は初めて見るハニーワームに食いつかない可能性もあるので要注意です。

【ゴキブリ系】
 レッドローチやデュビア等のゴキブリ類は簡単に殖える上、コオロギのように共食いする事もありません。 見た目に抵抗がなければ優秀な餌の一つでしょう。ただその見た目がネックなのですが…。 ただレッドローチはともかく、デュビアは育ってしまうとトカゲモドキの餌としては大きすぎるので、それらを食べてくれるような大型種でも飼っていない限りはあまりお勧めできる物ではありません。バランスの良い繁殖サイクルさえ維持できるのならば、優秀な餌の一つでしょう。
栄養価は低めだと言われています。


【ピンクマウス】
 完全栄養食と言われており、栄養価はこれだけで補えるとの説があります。 しかし、トカゲモドキは元々昆虫食の生物ですので、ピンクマウスから全ての栄養を吸収できているかは不明です。 またかなり高カロリーですので、与える頻度は控えめにした方がよいでしょう。 しかしそう言う説がある反面で、産後で痩せた雌の立ち上げには非常に優秀とも言われています。

【人工飼料】
2015年初頃まではまだ発展途上の餌と言う印象が拭えませんでした。しかし、グラブパイの登場により一気に状況が変わったと言える飼料です。
グラブパイはフェニックスワームの粉末を主成分とした人工飼料で、最近では取り扱い店も増えたので様々な爬虫類ショップにて購入する事が可能です。フェニックスワームはコオロギ等に比べると圧倒的にカルシウムの含有量が高く、非常に優れた餌として注目を浴びています。ベビーの頃から慣らしたり、餌を選り好みしない個体に与えることができれば、比較的扱いやすい餌となるでしょう。長期間別の餌で育てた個体には向かない事もあり得ます。
ただし、比較的ですが高カロリーな餌ですので肥満には注意が必要です。
グラブパイは粉末の状態で売られているので、熱湯で溶き、十分冷ましてから必要な大きさにカットして与えます。粘りが足りなければ電子レンジにかければ少し固まるそうです。この状態でなら冷蔵庫で一週間程度は保存も可能。

 一部のショップ等で開発されているものがあります。 まだ全ての個体が食いつく訳ではないようで、ピンセットからの給餌に慣れていない個体には向きません。 現在(2011.09.02)ではまだ発展途上の餌と言えます。

※参考情報
我が家のニシアフ達の餌の好み表
比較参考情報として、レオパのものも記載しておきます。
(記号の意味:◎⇒よく食い付く、○⇒普通に食い付く、△⇒粘れば食い付く、×⇒食べない、-⇒試していない)
ノーマル(♂)
アルビノ(♀) ノーマル(♀)
ノーマル(♀) レオパ
活イエコ
冷凍イエコ - - - -
冷凍フタホシ
レップミール × - -
冷凍ピンクマウス ×
鶏ハツ × × × -
ジャイアントミルワーム × - - - -
ミルワーム × - - - -
シルクワーム × × × ×
 ピンクマウスや肉類は、(目の悪いアルビノを除いて)よっぽど腹が減っていれば食いつくが、それ以外の場合には基本的に食いつく事はまずなかった。

【その他の餌】
 そのほかにも、牛こま肉、豚こま肉、鶏肉、ハツ等の内臓系やドッグフード、爬虫類用合成飼料などの死餌も食べる個体がいると言う話を稀に耳にしたり、ネットに書かれているのを見かけますが、これらを与えてみようと思うのであれば栄養価のバランスや持っている菌の影響はよく考慮して与える必要がります。基本的にトカゲモドキは昆虫食のヤモリです。死肉は食べない物、適切な消化酵素を持ち合わせていないため、変な物を与えると状態を崩すものだと考えて下さい。

◇餌やりの共通注意事項◇
温度設定が低くなってしまっているケージの個体や、状態を崩している個体に大量の餌を与えると、消化不良等を引き起こし、状態を悪化させてしまう事があります。少しずつ環境を良くしてから与えるようにしましょう。また、生体のサイズに関わらず、脱皮の前後は基本的に餌を食べない事が多いです。

◇ベビー〜ヤング期の餌◇
 ベビー〜ヤング期は消化が良く、小さめの餌を欲しがるだけ与えると良いと言う話をよく見かけます。 しかし、過信しすぎると胃腸にかかる負担は大きく吐き戻し等を誘発する事もありますので、インターバルを置いて胃腸を休ませる時期を作ってあげると良いと思います。小食の個体なら1,2日やって1日休ませてのサイクルにしたり、比較的良く食べる個体なら3日やって1日休ませるだとか食事量に応じて胃腸の負担を軽減してあげた方が良いと思います。 安定していれば毎日餌やりをしても良いですが、前日食べた分に応じてきっちり排泄できているかは確認してください。 消化不良や通過障害は致命的なので温度維持も重要です。特に排泄物の形状には気を遣ってやるべきで、しっかり葉巻型の排泄物が出ているか確認しましょう。 排泄物が下痢状だったりすると、胃腸に負担がかかり過ぎていたり温度不足の可能性も否定できません。この場合は餌の量や頻度を見直したり、温度環境を再確認したりが必要です。

◇サブアダルトの餌◇
ベビーの頃から育て、ベビーと同じようなペースで餌をやっていると突然餌食いが落ちる時期が来ると思います。 この頃には体格もしっかりして来て、尻尾もやや太ってきているのではないでしょうか。 サブアダルトサイズにもなると、中1日あけてのサイクルから中2〜3日あけての餌やりにペースダウンしても良いでしょう。 肥満にさえ気をつければ、個体の食欲次第では中1日ペースを続けてもいいかもしれません。個体の体格や反応を見つつ与えてください。

◇アダルトの餌◇
生後1年半〜3年位で、これ以上大きくならないだろうと言うフルアダルトサイズになった頃には餌の頻度はかなり控えめにしても大丈夫です。 具体的には中5日ないし、1,2週間に1回程度、欲しがるだけ与える方法と、ペースはその倍(2,3日〜1週間)に欲しがる餌の数の半分程度与える方法があります。 生体の体格を見て、肥満にならないよう調整して与えてください。 アダルトサイズの肥満は急死に繋がりますので注意しましょう。


■冷凍餌の解凍
◇冷凍コオロギの解凍◇
冷凍コオロギの解凍は通常、自然解凍をします。具体的な解凍時間は地域やその日の温度等で変わってきますので試して頂くしかないですが、初夏の30度近い環境で1時間程度放置すれば十分解凍できているかと思います。春や秋、冬などは自然解凍ではなかなか解凍できないので、パネルヒーターや保温球を併用すると早いです。この場合も気温による時間の差はありますので、御自分で確認しつつやってみて下さい。これ以外にもドライヤーの温風 Setで3分程度でも解凍することができます。いずれの場合にしても触ってみて冷たさが伝わってこない事を確認します。芯が凍っている場合は暫く持っていると冷たさが伝わってきます。充分に解凍できていない餌を与えると、吐き戻しや拒食の原因になったり、酷い時には死に直結する事もありますので御注意下さい。

◇冷凍ピンクマウスの解凍◇
ピンクマウスの解凍はコオロギ同様の自然解凍でもいいですが、湯煎で解凍するのも手早くできていいと思います。熱湯で1〜2分(小袋に入れたままだと+数分)で解凍できるはずです。あまり長時間湯煎すると、煮えてしまったりするので注意が必要です。解凍できているかの確認は、コオロギの場合と同様に指で持ってみて冷たさが伝わって来ない事の確認をすることでできます。まだ芯が凍っているようであれば、手で持ったときに冷たさが伝わってきます。




TopPageへ戻る