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◆ニシアフリカトカゲモドキとは?
作成日:2010.09.11  更新日:2015.07.01


■トカゲモドキとは
◇トカゲモドキは○○○の仲間◇
 ニシアフリカトカゲモドキってご存知ですか?よく知らない方でも、名前から察するに西アフリカに住んでいるトカゲモドキ・・・と言う事ぐらいはわかりそうです。ではニシアフリカトカゲモドキが何かの前に、そもそもトカゲモドキとはなんでしょうか?

-結論から言ってしまえばトカゲモドキは大きく分類して"ヤモリ"の仲間です。
爬虫類(爬虫網)は分類学においてカメ目・ムカシトカゲ目・有鱗目・ワニ目に細分化されるのですが、"ヤモリ"はその中では有鱗目として扱われています。 物凄く荒っぽく言えば爬虫類と言う大きなカテゴリの中では「トカゲ」や「蛇」や「ヤモリ」は全て、分類学上それらをひとくくりにして「有鱗目」として扱われています。 トカゲモドキを含む"ヤモリ"も、蛇やトカゲと同じ有鱗目の仲間という事なんですね。もちろんそれより更に細かい分類の亜目、下目…と細分化されるにつれ別の仲間として扱われます。ヤモリは有鱗目の中では有鱗目-トカゲ亜目-ヤモリ下目と分類されています。

 (--余談ですが…ヤモリを漢字で書くと「守宮」であり、「家守」「屋守」等の当て字で表現する事もあります。 紛らわしいヤモリとイモリですが、屋根("や"ね)を守る「屋守("や"もり)」と井戸("い"ど)を守る「井守("い"もり)」と覚えておけばわかりやすいかも知れません。さて、脱線した話を元に戻して…)

◇ヤモリなのにまばたきができる!◇
 さて、トカゲモドキはヤモリの仲間として分類されているにも関わらず、何故トカゲ"モドキ"なのでしょうか。

―その答えは、ヒョウモントカゲモドキやニシアフリカトカゲモドキをはじめとするトカゲモドキ達には、"トカゲに似た外見上の特徴がある"点にあります。 …つまりトカゲに似たヤモリ=トカゲ"モドキ"である、というのが答えになります。

ではそのトカゲに似た特徴とは一体何でしょうか?

―通常ヤモリには瞼(まぶた)は存在しません。しかしトカゲモドキはヤモリでありながらにして瞼があり、まばたきをしたり目を閉じる事ができます(上写真参照)。瞳まで鱗に覆われていて瞬きできないヤモリや蛇達と比べると、より原始的な構造とも言えます。
  もう一つの特徴として、多くのヤモリが指の裏に趾下薄板(指下板)と呼ばれる鱗を持っており、壁面はおろかガラス面等の目に見えないような凹凸にそれをひっかけることで壁を登ることができます。しかしながら、トカゲモドキはヤモリの特徴の一つである趾下薄板を持っておらず、壁面を登る事のできない地上棲の生き物です。
 この「瞼がある」ことと、「趾下薄板を持たない」ことがトカゲに似た特徴とされています。 とは言ってもトカゲモドキ以外のヤモリでも趾下薄板を持たないヤモリがいるため、殆どの場合は瞼の有無でトカゲモドキとその他のヤモリは分類されています。

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■ニシアフリカトカゲモドキとは
さて本題のニシアフリカトカゲモドキですが…まずはデータをまとめてみました。

■和名: ■分類:
ニシアフリカトカゲモドキ 界 :動物界 (Animalia)
門 :脊椎動物門 (Chordata)
亜門 :脊椎動物亜門 (Vertebrata)
網 :爬虫網 (Reptilia)
目 :有鱗目 (Squamata)
亜目 :トカゲ亜目 (Sauria)
下目 :ヤモリ下目 (Gekkota)
科 :トカゲモドキ科 (Eublepharidae)
属 :ニシアフリカトカゲモドキ属 (Hemitheconyx)
種 :ニシアフリカトカゲモドキ (caudicinctus)
■英名:
Fat Tail Gecko (African fat tailed gecko などとも)
■学名:
Hemitheconyx caudicinctus

(写真1-1)
■分布:
アフリカ西部のトーゴ〜ナイジェリアを中心に西はセネガル、東はカメルーン辺りまでの広域に渡ると言われている。北限はマリ、ニジェールまでと言われる事もあるが詳細は不明。)
■生息環境:
荒地/岩場などの乾燥地帯から、湿度のある草原/森林に生息するらしい。肉食(昆虫食)で夜行性。巣穴は基本的に多湿だが、他は乾燥している事も多いと言われている。
■全長・体重: ■寿命:
♂で20cm〜25cm、♀で15〜18cm程度が一般的と言われているが、流通個体の雌はもう少し大きい個体が多い。♂では100gにもなる個体もいる。(海外Wikipediaによると最大は35cmだそう) 諸説あります。2005年頃まではおおよそ5〜10年と言われていましたが、2015年頃から急に10-25年とする説が多く広まったように思います。長くなりますので詳細は下記。
■適した温度:
日中28度〜32度、夜間23度〜28度 前後
■適した湿度:
60%〜80% 程度

 和名からもわかる通り、ニシアフリカトカゲモドキは主にトーゴを中心とした西アフリカに生息しています。
トーゴやナイジェリアなどの生息地の気候を調べてみると、一年を通じて日中の平均気温がおおよそ30度から外れる事が殆どないと言う事がわかります。またサバナ気候に属するこれらの国の特徴として、地域によって多少の差はあるもののおおむね3〜11月頃までの長い長い雨期が存在します(より正確に言えば4〜7月ごろまでの大雨季と、9月頃の小雨季に分かれています。)。飼育が難しいと言われるのは主にこの気温・湿度のためで、夏と冬の温度差の激しい日本の気候には全く適していません。
(なお、飼育上での温度・湿度の設定に関しては、飼育方法のページ内の保温/保湿の項目で解説します。また一方でヒョウモントカゲモドキは、主な生息地とされるアフガニスタン等の国には30〜40度になる乾季と氷点下にもなる事があると言う雨期があるため、比較的日本の気候にも適応しやすいと考えられます。もちろん保温器具などによるサポートが必要なのは変わりありません。)

 一般的に言われている全長や体重の数値は野生下の個体の物であり、飼育下で育ったCB個体等はそれらより一回り以上大きいケースが多いです。寿命も恐らくは環境さえ万全であれば、野生下より飼育下の方が平均寿命は伸びるのではないかと考えられます。

■寿命についての補足
同じく寿命が5〜10年と言われていたヒョウモントカゲモドキの例では、エビデンスが充分かはさておき、20年以上生きた個体や25年以上生きた個体が報告されています。恐らくニシアフリカトカゲモドキも野生下より飼育下の方が長寿になるものと考えられます。(なお海外Wikipediaによると寿命は10〜25年として扱われています。) また、ニシアフリカトカゲモドキに限らず、多くのトカゲモドキにおいては雄の方がやや長寿な傾向にあるようです。寿命については諸説ありますが、論拠や証拠が不十分な説は現時点では採用しておりませんので、今後見方が大きく変わる可能性もあります。

飼育情報が殆どなかった時代には寿命(この場合野生での寿命=生態的寿命)が3-5年と言われていましたが、ペット化が進んだ事により10年以上生きた長寿個体が現れ「長いもので寿命は10年や15年以上」(この場合の寿命は生理的寿命のニュアンスに近い)と言われたものが「寿命が10年」と短縮され、いつしか「平均寿命が10年や15年」にすり替わった印象を受けます。35年位累代繁殖を続けている複数のブリーダーの話を聞いていますが、殆どの人が「@雄は10年以上、長ければ15年以上いきる事もある。A雌は雄に比べて短命な傾向がある。」と言う回答をされ、具体的な数字は明言されない事が多いように思います。
日本国内、海外共に寿命に言及した記述はよく見受けられますが、平均寿命がわかる統計データやテロメア長等から見解が変わった等と言った論文等は残念ながら現時点では発見できていません(2017/01/06)。もし統計データをお持ちで、教えてやってもいいよと言う方がおられましたらご連絡お待ちしております。




■ニシアフリカトカゲモドキの身体的特徴
◇マシュマロのような太い尻尾◇
 ニシアフリカトカゲモドキの大きな特徴は英名のFat-tail Geckoの名が表すように、栄養をしっかり取れている個体は太い尾を持っています。逆の言い方をすれば、栄養を蓄えるに至らない幼体、栄養を蓄える事ができず弱っている個体や、病気にかかっている個体の多くは尻尾が痩せ細っていることが多いと言えます。
  この栄養を蓄えている尻尾ですが、荒っぽい扱いしたり、またベビーの頃に驚かせたりすると簡単に自切してしまいます。自切した尾は時間をかけて再生しますが、元の形には戻りません。またトカゲモドキ自身が自切した場合以外、つまり外的要因によって切断された尾は治癒こそするものの再生する事はありません。これは尾の骨に自切節と呼ばれる物があり、自切する際はここを境に自らの意思で尾を切り落とす構造になっているためです。

◇学名の由来◇
  学名の"Hemiceconix Caudicinctus"の意味は、Hemi:Half(半)、ceconix:box claw(箱 爪)、caudicinctus:ring tail(輪 尾)を意味するようです。
◇基本は橙と茶色のツートンカラー◇
 その他の外見上の特徴としては胴に太い横縞のバンド模様があり、多くの場合茶色から焦げ茶の濃い色の部分と、ベージュから橙の薄い色の部分の2色交互の模様をしています。野生型表現には背中の中央に白い太い一本の線が入る個体もおり、それらはストライプ(またはストライプフェズ)と呼ばれています(上写真1-1の個体もストライプです)。 ストライプ以外の野生型表現では、ベージュ〜橙の色の薄い部分に茶色の複雑な模様が入るグラニット(Graniteとは花崗岩のこと。グラナイトとも。)と呼ばれる表現型もあります。(これらの品種については入手方法/品種のページや、各外部リンクを参考にして頂けたらと思います。)

◇真っ黒な瞳!?◇
 ニシアフリカトカゲモドキと言われると、大きな黒いつぶらな瞳を連想される方も多く、一般的なイメージで言えばこの黒い瞳がチャームポイントの一つと言っても過言ではないでしょう。とは言え、よーくその瞳を見ると、ヒョウモントカゲモドキ等と同様に縦長の瞳孔を持っていることがうかがえます。濃いサングラスをしているような状態になっているだけで、黒い部分が全て黒目と言う訳ではないんですね。更に目の周りの瞼をよく見てみると、白いラインの内側は黒くなっており、大きな黒い瞳をより強調して大きく見せています。



◇超撥水?一枚皮?不思議な皮膚◇
 あまり知られていない特徴としては、その皮膚も少々変わった特徴を持っています。一見すると一枚皮のように見える皮膚ですが、よくよく見てみると一枚一枚鱗があることがわかります。(上の写真参照)。真偽のほどは定かではないですが、この皮膚を強く握ったりすると皮膚自体がズルッと剥けてしまうと言う説もあります。小さな動物ですから、人間の強い力で握る事で骨と筋肉、肉と皮の部分が剥がれてしまうと言う事かも知れません。
  それからこの皮膚ですが、もの凄く撥水性が高く水などを簡単に弾きます。撥水性が高い理由はわかっていません(*)が、下の写真のように水滴を乗せることさえできてしまいます。(*1年の半分以上が雨期である地域で生息しているため、体温を下げないように撥水できる構造になっているとも考えられます。)


脱皮の時には殆どの個体において胴や尾の方の鱗から浮いてきます。その結果体が白く見え、口の周り以外が白くなると、もういよいよ脱皮をする…と言うサインです。
脱皮前
全身が白くなったら大体その日の内か翌日には脱皮を終えてしまいます。脱皮の際は鼻先を壁等に擦り付け、頭から脱皮を始めます。脱皮自体は個体差こそあれど、数分〜数時間で脱皮を終えてしまうので、神経質で引き篭もり気質の個体では、脱皮した事にすら気付けないかもしれません。通常脱皮殻は自分で食べてしまう為脱皮の前後の日には餌を食べないことが多いです。
  またこの皮ですが、雨期の長い地域に生息しているからか乾燥には非常に弱く、長期の乾燥に晒されると脱皮不全をはじめとし、すぐに状態を崩してしまうので気をつけて下さい。

 この記事を記載している時点(2010/09/21現在)において、ニシアフリカトカゲモドキは日本国内ではヒョウモントカゲモドキ(LeopardGecko、通称レオパ。本文でも以下レオパとします。)に次いで人気の高いヤモリと言われており、「ニシアフ」或いは「ニシ」の愛称で親しまれています。 レオパと比べるとやや足が短く寸胴な印象です。キリッと凛々しいレオパに対して、ぽよっとした体格で愛嬌のある姿をしています。




■ニシアフリカトカゲモドキの性格的特徴
◇意外と攻撃的な面も!?◇
 ニシアフリカトカゲモドキの性格の面はと言うと、飼育下で特に人に慣れた個体は非常にのんびりおっとりしており、「野生で生き延びられるの?」と不思議に思われるかもしれません。しかし、特に人に慣れていないWC個体や購入直後の環境に慣れていない個体を中心に、驚いた拍子などに高速で走る姿を見せる事もあります。
 また発情期の雄は非常に攻撃的な面を見せる事もあります。性成熟し、自分の縄張りを意識するようになった雄は、自分の縄張りに対する侵入者に積極的に攻撃します。通常雄同士では激しく縄張り争いをし、相手を殺すか縄張りの外に追いやれば勝利となるのですが、外に追いやれない飼育下では殺し合いにまで発展するため雄同士の多頭飼育はできません。
 発情期に気が立っている雄は人間を侵入者と誤認して噛み付く事さえあります。のこぎり状の歯になっているため、本気で噛まれた時は物凄く痛いですし、ワニのデスローリングさながらのひねりを加えた噛みつきをしてくるため、運が悪ければ皮膚や肉を食いちぎられてしまうかも知れません(たまおやも指をざっくりやられた経験があります)。そう頻繁に起こる事ではありませんが、本気で噛まれると人間が怪我をしてしまう事は勿論の事、ニシアフ自身も顎の骨を痛めたりする事がありますので気をつけてください。
  雌同士であれば多頭飼育が可能と言われていますが、個体毎の相性もありますし、空腹時の事故等もあるのでこちらも絶対安全とは言い切れません。
一般的に目が悪いと言われているアルビノ等の品種も、動く物を餌と勘違いして噛み付くケースがありますので、あまり多頭飼育向きとは言えません。単独飼育をするのが基本となります。


◇臆病で神経質?◇
 ニシアフリカトカゲモドキはヒョウモントカゲモドキに比べると活発さはあまりなく、少々神経質な個体が多いと言われています。しかしこれは個体差こそあれ、基本的に設定している温度・湿度の問題である事と、人間の目にする時間の問題が殆どです。
  それ以外に、過剰に「気難しい」と表現している方の話を聞いていると、完全にヒョウモントカゲモドキと同じ飼い方をしているケースが多かったり、触りすぎているケースが多いと言う印象を受けます。

  先にも述べた通り、ニシアフリカトカゲモドキは日本の気候にあまり適していません。そのためよくある飼育書の通りの環境にセットすると、大抵シェルターの中だけ快適…と言う状態を作り出してしまいます。正しく環境を整え、個体を慣らしてやると、シェルターの外に出ている姿もよく見るようになります。
  また本種は夜行性傾向がかなり強く、ヒョウモントカゲモドキのように昼間でも積極的に活動する…と言う事はあまりしません。夜電気を消してそっとケージを覗いてみると、周囲の物音や人の動きに慣れた個体は思いの外活動的になります。ニシアフに適した環境を用意し、じっくり付き合って環境に慣らしてやれば次第に活動する姿を見る事ができるでしょう。

  ただしWC個体に限って言えばその大半が臆病で気難しいモノと思って接した方が上手く行くケースが多いようです。当然人間に触られる事がない野生で育ったわけですから、環境の変化にはなかなか適応できないのでしょう。いつか気を許してくれる日が来れば、状況も変わるかもしれません。



◇綺麗好き?几帳面?◇
 ニシアフリカトカゲモドキの大半は決まった場所で排泄をするという特徴があります。(トイレ場所にする範囲はそれなりに広いので、ケージが狭いと決まった場所で排泄をしてくれないかも知れません。その場合は大きなケージにする事で、大体同じ場所に排泄してくれるようになると思います。)
糞はニシアフリカトカゲモドキの健康状態を把握するためのバロメーターにもなるので、しっかり観察してください。健康な個体や、温度維持が適切な個体は葉巻型(俵型)の糞をします。



◇飼育は慣れが必要◇
 飼育自体は"きっちり必要な器具さえ揃えれば"簡単な部類ですが、環境が整って初めて簡単と言えます。繁殖はさほど簡単ではないと言われており、実際やってみると温度や湿度を一定に保ち続けることがいかに難しいかがわかるでしょう。エアコンをかければ簡単だと思われるかもしれませんが、エアコンでは空気が乾燥しやすく、外気温や湿度状況によって数度は簡単にブレてしまいます。 しかし、難しいとは言っても温度湿度の管理さえできるのであれば簡単な部類です。これも逆の言い方をしてしまえば、他の爬虫類がいかに情報が少ないかとも言えますが…。 なお、ニシアフリカトカゲモドキはTSDのためか、CBでは比較的雄が少ない傾向にあると言われており、実際ショップ等でも希少なモルフは雄の方が1.5倍〜2倍程度高く売られているケースを良く見かけます。(逆に人気のないモルフの場合で、販売者がブリーダーの場合は雄の方が安い事もあります。品種を多く産ませるために、雌は多数いて困りませんが、雄は最低限で1匹、保険に数匹確保できれば充分なためかと思われます。)
 当たり前のことですが、必要な器具を揃えず飼育する事は日本国内においては一部例外的地域を除いて非常に困難なので、御自分でしっかり勉強してからお迎えするようにして下さい。




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