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◆ニシアフリカトカゲモドキの繁殖
作成日:2010.09.11  更新日:2013.03.12




■繁殖:
◇繁殖に使える個体◇
 繁殖に使える個体は、雄雌共に生後1年半〜2年程度経過した個体が好ましいとされています。 生後1年に満たない個体でも繁殖自体はは可能です。ただ個体への負担が大きいので、産卵後のケアに自信がないならやめておいた方が良いかもしれません。
  繁殖可能な大きさはサイズにすると最低限雄で40g以上、雌で45g程度あれば良いようですが、個人的には生後1〜2回冬を越えた上で上記の体重になった個体の方が確実性は高いように感じます。但し以降はどんどん成功率は下がる傾向にあるように思うので、2〜3年目をピークと考えておくのが良いかも知れません。また体重は判断材料の一つとして参考になるのは事実ですが、体重を気にするより体格を見て検討する方がより良い結果をもたらすと思います。(尚、JMGでは最も早く繁殖に使う例で、雄は生後7ヶ月で40g以上、雌は8ヶ月で45g以上で繁殖を開始するそうです。)

◇クーリングの是非◇
 クーリングの是非については諸説あるのですが、ここではクーリング自体は非推奨とした上で、様々なブリーダーのクーリング方法を紹介しておきます。なお非推奨とする理由につきましては、野生の生息地において平均気温が25度を下回る期間が殆どないからです。 
 一説によると冬場は1〜2カ月程度クーリングを行う方がより繁殖行動に出やすくなるそうです。 某国内ブリーダーによるクーリング方法は、日中21〜22度、夜間で15〜18度の温度設定でキープし、半冬眠状態で維持するそうです。半冬眠状態とは言え水は飲むので水入れの水だけ常に新鮮な水を入れてやる事は欠かさずに。 蛍光灯などを用いた日照時間設定は8時間に設定するそうで、明るい時間をあえて作る事によって日周周期を生体が認識しやすくなるとかなんとか。ちなみに平常時の日照設定は12時間程度だそうです。

  こちらはJMGでの方法ですが、短期的に平常より-5度前後下げた日中27度、夜間23度前後を1ヶ月程度からキープするそうです。現地の温度推移をみる限りでは、こちらの方が野生に近い状態だと思います。
  クーリング期間中は餌は断ち、クーリング終了と共に徐々に温度を上げ、同時に少量の餌を与えて元の温度に戻していくのが良いようです。日本国内であれば秋口に気温と湿度が自然と下がるので、それに合わせてクーリングするのが最もスタンダードでしょう。

  1月2月の内の1か月程度をクーリングで乗り切り、3月4月に繁殖すると言うブリーダーもいれば、10月11月頃にクーリングし冬場の最も寒い時期にエアコン等で温度を上げてしまって繁殖するブリーダーもいます。基本的には後者の方が春先の不安定な温度に影響されにくいので孵化しやすいかも知れません。 (無論クーリングは必須の物ではないので、必ずしも行う必要はないですし、日本においてはエアコン管理下でも冷房から暖房に切り替える秋の間の温度低下でも充分クーリングの役割を果たすと思います。なお私の環境では特別クーリングを行わなくても餌食いの傾向や体格、タイミングさえ見れば成功しています。)


◇交尾行動◇
 交尾ですが、オスとメスの相性さえよければすぐに交尾行動に出ます。 個体によってアプローチは違いますが、交尾の際オスはメスを見ると尻尾を小刻みに水平に震わせてメスの首元に噛み付き姿勢を固定し、その後交尾に及ぶケースが多いようです。 小さな音なので聞き逃しがちですが、オスがメスに噛み付いた際、シュッシュッシュともキュッキュッキュとも言えない音を出して求愛する事が多いと思います。メス側もこれに対して受け入れの場合はあまり身動きせず、雄が足を絡めるのに合わせて、尻尾を持ち上げ受け入れます。拒否の場合は人が歯を鳴らすようなカチカチカチと言う音を出して反応したり、尻尾をくねくね動かす(尻尾を持ち上げるのとは別)事があります。メスの機嫌が更に悪い場合には、シューッと言う噴気音を立てたり、オスに噛み付いたりする事もありますが、これらの反応を示した場合はまず成立しません。いずれもかなり小さな音なのでよく聞いてみましょう。成立しなかった場合は日を改める等諦めが肝心です。あまりしつこく勧めても怪我の元なのでやめましょう。繁殖期の間雄1匹に対して雌2〜8匹のコロニーで管理する方法もありますが、個体間の相性問題も大きいのでよく観察した上で検討してください。
交尾の様子

 なお、どちらか一方にその気が見られなければ、大抵の場合その回で成立する事はないので一旦お互いが見えない場所へ引き離し、数週間置いて再挑戦してみると上手くいくかもしれません。また、交尾を終えたオスは自身のヘミペニスをセルフメンテナンスすることがあります。
セルフメンテナンス
コンデジなのでぶれてしまっていますが、自分で自分のモノを舐めてメンテナンスするようです…。
動画は↓に。




◇産卵◇
 個体の状態や環境にもよりますが通常交尾後早くて2〜3週間、遅くとも1ヶ月前後で産卵をします。産卵が近づいた雌は餌食いが極端に落ちる事が多いようです。 受精がしっかりできていなかったり、交尾をしていないのに無精卵を産み落とす場合もあります。
 いよいよ産卵の時期が近付いてくるとしきりに地面を掘り返すような行動が観察できるようになります。通常であれば土中に卵を産み落とすためです。このタイミングで産卵床を用意しておけば意図した場所に卵を産ませる事ができるかもしれません。産卵場所はケージ内で程よく湿った暖かい場所が選ばれることが多く、ケージ内に乾いた場所しかない場合には水入れの中に産卵をしてしまう事があるので要注意です。
  土中に卵を産んだ雌はこんもり盛り上がった土の上で休んでいる事が多いので、その下を掘り返せばすぐに卵を発見できると思います。 産卵は1回に2個産み落とすのが普通で、産卵後約1〜3週間程で2回目の産卵に至り、1度交尾をすれば平均して5クラッチ程度は産卵を行うようです。
  なお抱卵した生体が入ったケージをパネルヒーター等で加温している場合、産卵場所が悪く発見が遅れた場合等には既に手遅れになっている事もあるので、産ませる場所や加温方法は工夫が必要です。極端には床材をすべて取り払い、産卵床となるような容器をケージに入れて、水入れ、シェルター等は一時的に撤去した上でエアコンで加温、水は霧吹きで与える等のように徹底するのも一つの方法でしょう。

◇孵化◇
 卵が産み落とされてから孵化するまでは29度で約8〜10週程度(55〜70日)は必要と言われています。温度によって孵化までの日数は前後し、基本的には温度が高い方が早く、温度が低い方が遅くなる傾向にあります。
 鳥類等では転卵が必須ですが、カラザのない爬虫類の卵で転卵を行うと動物極が押しつぶされて死んでしまうので絶対に転がさないようにしましょう。
 ニシアフはTSDで性別が決まり、31〜32度でほぼ雄、32度以上となるとほぼ雌、30度以下では混合となると言われています。温度が下がるにつれ雌比率が上昇しますが、温度が極端に下がると今度は卵が死んでしまう可能性が高まります。また32度以上での孵化は発育に悪影響を及ぼす可能性も上がるので、温度選択は良く考えて決めて下さい。 あるブリーダーの話によれば30または31度が一番孵化率が高いそうです。低温も孵化率を下げる事になるので、30〜31度位で管理する方が無難でしょう。なお、卵の温度維持ですが、パネルヒーターなどで加温すると卵が煮えてしまったり温度が一定を保てなかったりするので、エアコンや孵卵器(インキュベーター)等で空気と床材の両方が均一に温まるよう工夫してください。
  また、ニシアフの卵はゴムのような皮膜状の殻を持つ卵で乾燥に非常に弱いです。 湿らせたミズゴケやバーミキュライトなどの上に産卵するよう工夫をし、温度管理と湿度管理を徹底したい所です。ハッチライトが使えるならそれが最も手軽で確実だと思います。

 尚、床材に適度な湿気がないと、湿度・温度が良くとも卵がしぼんで行く事がありますので注意が必要です。また、無精卵であれば産み落とされた直後からハリがなくしぼんでいたり、時間経過と共に萎んでいく、あるいはカビが生えて行くのが普通ですが、稀に萎んでいかない無精卵もあります。逆に有精卵でありながら凹んでいる卵もありますが、そう言った卵は基本的には湿度不足ですので適正な湿度で維持してやれば次第に正常な形に戻って行きます。適性な温度湿度で管理しているにも拘らず、5日〜10日前後でカビが生えてくるようであれば、高確率で無精卵であるか、死んでしまった卵であると思って良いでしょう。正常な卵にカビが移らないよう早期に撤去するか、可能性が捨てきれない場合はカビをふき取った上で別容器に隔離すべきです。正常な卵に付着したカビは軽く拭き取ってやれば持ち直す事があります。
  有精卵か無精卵か判断がつかない場合には、キャンドリングをする等して判別する方法もありますが、リスクを伴うので注意をして下さい。まずキャンドリングの方法ですが、卵の後方や上からライトを当てて、透けて見える色(や血管)を判別すると言う方法です。無精卵の場合は大抵黄色っぽく、有精卵の場合ピンク色のように見えるケースが多いかと思います。この判別には卵を持ち上げる等、ライトを当てやすく動かす必要があるため、動かした事による死亡等のリスクに注意する必要があります。

◇産卵後のケア◇
 産卵時の雌は見るからにして痩せている場合が多いです。これは卵に大量のカルシウムを奪われるためで、餌にはカルシウム剤を多めに添加して与えたり、ピンクマウス等を与えてカルシウムを多めに補給してやると良いでしょう。

◇孵化後の幼体のケア◇
 生まれてきた子供たちは卵から生まれ出る直前までヨークサック(卵の栄養分が入った袋)から栄養を吸収しており、数日分の栄養を蓄えた状態で産まれ出てきます。(※稀にヨークサックをつけたままの個体が生まれる事があるようですが、普通は自然になくなるのでそっとしておきましょう)。そのため、最初の脱皮(ファーストシェッド)を終えるまで餌は食べないので焦って餌を与えないこと。ここで焦って無理に餌を食べさせようとして死なせてしまうと言う話を聞く事があります。 ファーストシェッドを終えるまでは、静かに見守ってあげたい所です。また幼体は骨格が非常にもろいです。脱皮の際のとっかかりになる物がないとケージの壁面等の引っ掛かりがない場所で無理に脱皮をしようとし、骨格をゆがめてしまう事もあります。

上の写真は一円玉との大きさ比較。色や模様もヒョウモントカゲモドキのベビーとそっくりです。
写真をよく見るとわかるのですが、お腹がぽっこりと膨らんでおり、卵の栄養分が未消化で蓄えられているのがわかります。

余談ですが、ニシアフリカトカゲモドキとヒョウモントカゲモドキは外見上似た特徴を持っているものの、亜種関係どころか属すら異なります。 その為、ニシアフリカトカゲモドキとヒョウモントカゲモドキの交配は基本的に不可能ではないかと思われます。(とは言えロバと馬の雑種であるラバの例もあるので、100%不可能とは断言できませんが。。) ただ、たまおやが色々情報を漁ったところ、「もしかするとハイブリッドか!?」と言った内容の記事は見当たるものの、その後の成長まで確認できる情報は見つけられませんでした。また、そう言った情報を見かけられるサイト・ブログ等ではニシアフ×レオパで交尾行動を確認した後に、レオパ同士同居させていたりと管理が杜撰な例が非常に多く見受けられます。ハイブリッドと言えば聞こえは良いですが、言い換えればただの雑種であり、遺伝子の汚染でしかありません。そのためモラルある繁殖者にとっては禁忌とされています。そのため交雑の例が非常に少ないと考えられます。安易な気持ちでハイブリッドを作出しようとするべきではありませんし、交雑を試みるのであれば、然るべき学術機関等に所属し、厳然たる管理の下で交雑すべきと言うのが正しいあり方だとたまおやは考えています。



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